緊急分析:東日本大震災が産業の空洞化要因となるハイテク日本

筆者の所に、ハイテク企業経営者から様々な相談を受けている。
自社の生産を安定かつ持続的成長を続けたい、どのような策があるのか?
しかも、短期で年内に効果を出したいとう具体的命題を相談される。
東北地区は、甚大な被害を受けている。
答えは、海外に自社工場を持たず、現状の国内設備を海外に移設し、アセットを軽くする為にEMSに製造全てを任せ、部品をマルチベンダー化することで、部品調達コストを下げ、部品調達を1社依存から脱する事である。
東日本地区は、最短3年は電力は安定供給が絶対出来ない。
東日本地区から北関東周辺では、本震と同程度(M5〜M7クラス)の余震も半年以上続くと筆者は見ており、生産シフトの判断が遅れれば、グローバル競争で日本企業が敗北を意味する。
この事がハイテク産業成長の抑制要因となる。
日本企業の海外EMSシフトは、『日本切り捨ての悪』ではなく、グローバル競争で日本企業が勝ち残り復興ニッポンの財源を確保する為とお考え頂きたい。
電子産業の海外シフトにより、当面の電力需要を抑制出来る。
そして、これは単純な海外移転策ではなく、日本企業がグローバルで勝つ戦略を組み込んでいる。
この戦略は、このブログでは公開出来ない。
但し、今後の日本政府の対応次第では、日本のハイテク企業がグローバル競争を全て失う可能性もある事を(未来予測能力)想定し、筆者は政府間交渉に影響されない戦略モデルを提供している。
これが具体策である。

筆者は、分野毎に競争力にある海外EMSとのエンゲージのサポートもしている。
実業界に戻れば電子部品・半導体・材料の調達状況もリアルに理解出来る。
筆者は、グローバル電子産業界が正常化するには、1.5年掛かるものと分析している。
ところで最近、米調査会社は半導体予測を上方修正(メモリ価格上昇が要因)しているが、アーキテクトGD社最新予測は、スーパーリセッション現象をシナリオを組込んだものであり、市場成長は抑制されるというのが筆者の考えるメカニズムである。

スーパーリセッション現象を引き起こすサプライチェーンの流れは下記の通り。
(X)は、サプライチェーン上の問題箇所であり、今後も問題点となる。
(X)電力供給⇒(X)ウェハ・洗浄剤など材料⇒(X)半導体・(X)電子部品・(X)液晶⇒電子機器・自動車の生産⇒消費者⇔経済状況が消費者と企業の消費動向に影響する。
電子機器・自動車メーカーが消費者に製品を届けたくても 部材が揃わず工場の稼働率を下げ、工場稼働停止となれば、半導体の調達率が上がらず半導体消費は抑制される。
これに電力供給制限、福島第一原子力事故の長期化、巨大地震と余震(M6~M7クラス)の長期化⇒工場安定稼働は不可能、日本発の世界経済不況⇒中国バブル崩壊と連鎖しながら2012年〜2013年と世界危機の時代を迎えるだろう。

この世界半導体予測は、両者真逆(2010年以上より成長するとベストケースで2008年程度のギャップ)である。

さて、読者の皆さんはどちらを選択し事業の命運を賭けますか?
読者の皆さんの答えは?
この選択が事業に大きく影響することを筆者から予言しておきましょう。

【2011年の半導体市場予測を検証する為の情報】
※関連記事:11年の世界半導体売上高予想、震災で引き上げ=IHSアイサプライ
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20457820110406
※関連記事:iSuppli社が2011年半導体売上高の予測を引き上げ、東日本大震災の影響で
http://ednjapan.cancom-j.com/news/2011/4/8041
※関連記事:震災で半導体の部材調達が危機、ウエハー工場など停止続く(⇐調査会社の矛盾)
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-20546520110411
※関連記事:半導体関連の生産停止、世界の影響40兆円 政府試算
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E2EAE2E69A8DE2EAE2E6E0E2E3E39C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C93819696E2E5E2949D8DE2EAE2E6E0E2E3E39C9CEAE2E2E2
※関連記事:部品不足悪化、シャープが液晶パネル生産を一時停止
http://www.spotlight-news.net/news_ej1qJCSqd8.html
※関連記事:液晶事業、電力不足などで戦略見直し 生産縮小で撤退・再編の可能性
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110411/bsb1104110501000-n1.htm
※関連記事:東日本大震災1カ月/消えた半導体-進むか購買体制の見直し
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201104110012.html
※関連記事:シャープ(6753)は5日続落 「資材調達難で液晶パネル工場の操業休止」報道をマイナス材料視
http://mainichi.jp/life/money/kabu/nsj/news/20110411252728.html
※関連記事:岩手の半導体工場、操業再開へ=余震でずれ込み-東芝
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011041100628
※関連記事:カシオ、フリースタイルカメラ「EX-TR100」発売延期
http://news.kakaku.com/prdnews/cd=camera/ctcd=0050/id=14858/
※関連記事:トヨタ、自動車不足が長期化の見込み
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_220400
※関連記事:今年の世界経済成長率、昨年から鈍化=IMF世界経済見通し
http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_220427
※関連記事:中東・北アフリカの2011年成長見通しを4%に下方修正=IMF
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-20551320110411
※関連記事:米成長率下方修正、原油高と鈍い雇用拡大ペースで-IMF経済見通し
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aW9kvr.sgZqI
※関連記事:米フォード、東日本大震災の影響で業績に打撃も
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20554520110411

【筆者分析ブログ内の検証】
読者の皆さん、このブログと関連付けてお読みください。
●2011年3月20日日曜日
復興ニッポン:日本半導体企業は、スーパー・リセッションに備えよ!
http://a-gd.blogspot.com/2011/03/blog-post_20.html
●2011年1月1日土曜日
日本への未来予言
▮新年明けましておめでとう御座います
http://a-gd.blogspot.com/2011/01/blog-post.html
●2010年7月28日水曜日
シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑩
http://a-gd.blogspot.com/2010/07/3_28.html
●2010年5月25日火曜日

シリーズ2:日本半導体産業復活のソリューションと警鐘 ➁
ハイテク調査会社の裏
http://a-gd.blogspot.com/2010/05/2-agd-2009wsts2244agd22131131-vdramnand.html

このブログの人気の投稿

緊急分析:国連宛に送られたとされる『ロックフェラーの書簡』を検証する

ブルームバーグインタビュー記事

日本語ブルームバーグインタビュー記事