BCP分析:福島県拠点の信越半導体白河工場(ウェハ供給)のリスク➂

ルネサスエレクトロニクスの自動車向けマイコン供給問題以外で、世界電子産業サプライチェーンが最も危惧している「信越半導体」のウェハ供給が与える未来予測をしょう。
2011年3月11日以降信越 半導体の白河工場(福島県西郷村)停止状態にあり、米MEMC Electronic Materials社宇都宮工場(栃木県宇都宮市)は稼働開始した。
MEMC社は、2011年5月半ばまでに、300mmウェハのフル生産回復を目指しているとしている。
同工場の200mmウェハ量産機能は、計画通り2011年度第3四半期中をめどにマレーシアIpoh工場に移管する計画。
世界半導体業界に影響を与えている信越半導体は、4月下旬稼働を目指している。
東日本地区(SUMCOを除いた)信越半導体の主力工場では、世界の半導体向けウエハ20%を、MEMC社5%を生産 しており、 2社の操業停止は25~20%程度世界半導体ウェハ調達に影響を与えているものと筆者は見ている。
信越半導体の供給で影響の出ている半導体メーカー(推測)は次の通り。
インテル社、サムスン電子、エルピーダ、TSMC社、ルネサスエレクトロニクス、ソニーセミコンダクターなど(当然、これら企業以外にも供給中)。
インテル社、サムスン電子、ルネサスエレクトロニクス、TSMC社、ソニーセミコンダクターなどはSUMCOへのベンダー切り替えを開始しているだろう。
但し、状況は一見漁夫の利敵的に見えるが、世界第2位のSUMCOでさえ2012年に経営破綻に近い危機を迎えるものと見えている。
筆者は、詳細にSUMCO破綻シナリオをシミュレーションを行ったがブログには、公開出来ない。
メモリ、ASIC、マイクロプロセッサなどはバルクウェハ(ポリッシュ)使用しているので、多少特性の違はあれどSUMCOへの切り替えは容易であるが、CCD/CMOSイメージセンサーはEPIウェハとなるので、特性に大きく影響する。
この特性⇒性能劣化は、『映像』に影響し、デジタルカメラメーカーには死活問題となる。

※関連記事:MEMC Resumes Wafer Production in Japan
http://www.memc.com/index.php?view=investors&c=106680&p=irol-news
※関連記事:信越化学が月内に白河工場を一部再稼動、全体再開の見通しは立たず
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-20619020110414
※関連記事:2010年世界半導体市場の売上、前年比30.9%増
http://japan.internet.com/wmnews/20110419/1.html
※関連記事:IDC、国内IT関連の震災復旧期間と生産高インパクト予測を発表
http://journal.mycom.co.jp/news/2011/04/14/099/

※一般の読者向けの為の予備知識:シリコンウェーハ業界動向
http://www.fukoku-life.co.jp/economic-information/report/download/report54_12.pdf
※一般の読者向けの為の予備知識:イメージセンサの基礎
http://www.ic.is.tohoku.ac.jp/~swk/lecture/ic2005/kagami_ic20050419.pdf
※一般の読者向けの為の予備知識:固体撮像素子及びその製造方法
http://www.ekouhou.net/disp-fterm-5F049RA03-p4.html

【過去のデータベース】
※重要情報:シリコンウェハシェア
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/silicon-wafer.htm
※重要情報:グローバル シリコンウェハ世界シェア 2000年-2006年
http://electroresearch.blog106.fc2.com/blog-entry-16.html

世界の主要半導体メーカーは、サプライチェーンの変更が始まっている。
東日本大震災前のSUMCOは、リセッションの入口+300mmウェハシェア低下などもあり、同社の株価も下がり始めていた。
しかし、事態は一変した。
SUMCOは、信越半導体からの緊急切り替えの特需で『漁夫の利』を得ている。
SUMCOの主力工場は、伊万里と台湾であり、信越半導体の東の拠点比較すると、余震や電力供給制限の心配はない。
ウェハのインゴット引き上げは電気堝で12時間程度掛り、大きな余震が続くと「格子欠陥」などの発生原因にもある。

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