BCP分析:茨城県拠点のルネサスエレクトロニクス・その他企業のリスク①

今日の11時19分茨城県南部を震源に、M5.9が発生した。
筆者は、このブログ内で既に警鐘しているが、茨城県〜岩手県M8.Xクラスの再震を想定した半導体市場サプライチェーンの影響をワースト・シナリオを組込んでいる。
小さな余震が落ち着く状況でもルネサスエレクトロニクスの主力工場である『ひたち那珂(旧ルネサステクノロジ⇒旧日立製作所)』は”秋口迄(10月末)”、正常可動には時間が掛かると筆者は見ている。

同社のBCP、事業継続計画は、どうだろうか?
余震は半年〜1年近く続く。
福島第一原子力発電所の1〜4号炉の安定化には、最低10ヶ月は掛かるだろう。
ルネサスエレクトロニクスには世界の自動車産業へのサプライチェーンに与える影響が高いので、水面下で経済産業省が優先的な復旧支援を行うだろう。
世界経済に与える影響も考慮すると生産供給の優先先は、自動車産業向けと容易に推測出来る。

※重要情報(ルネサスエレクトロニクスのマイコンシェア)
⇒半導体復旧 車生産のカギ
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20110411-OYT9I00349.htm
※関連記事:(続報2)ルネサス那珂工場、7月からの生産再開を目指す
http://eetimes.jp/ee/articles/1103/28/news098.html
同社が最も影響度が高いデバイスは、自動車向けカスタムマイコン(顧客仕様⇒ファーム含む)、FeliCaチップ、大判CMOSイメージセンサー⇒ファンドリ、カーナビゲーション向け画像処理SoCマイコンなどが産業・顧客連動型で影響が出ている。
グローバルファウンドリーズ社への緊急生産移管は、この中の顧客デバイスの安定供給処置であると筆者は見ている。

ルネサスエレクトロニクスBCP観点のリスクは、電力制限・福島第一原子力発電所のメルトダウンまたは非難区域拡大・信越半導体からのウェハ調達(工場ラインはひたち那珂以外⇒特にCMOSセンサー向けEPIウェハ確保は更に困難になると分析)と巨大地震の再震(再来)による電力供給源のロストなど設定シナリオが現実になった時には、完全復旧にはXXヶ月プラスαされるだろう。

福島第一原子力発電所の事故は、"レベル7"であり4基崩壊、放射能拡散は、史上最悪のシナリオが現実となり、チェリノブィリの事故を越えると推測している。

これから先の未来は全てが、神のみぞ知る事である。

米国調査会社IDC社とロイター通信の評価は下記の通りである。
※関連記事:自動車生産再び停止も---自動車用半導体生産が14%減
http://response.jp/article/2011/04/15/154946.html
※関連記事:【地震】国内IT産業、半導体やウェハーは徐々に回復……IDC Japan
http://www.rbbtoday.com/article/img/2011/04/15/76217/132645.html
※関連記事:マイコン不足で懸念される、自動車メーカーの大幅減産長期化
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20613420110414
※関連記事:【台湾】TSMC、地震でルネサスから携帯向け受注
http://nna.jp/free/tokuhou/110315_jpy/11/0331e.html
※関連記事:計画停電は本当に回避できるのか、新潟県の検証実験では17%節電
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1104/14/news083.html
坂本社長のエルピーダメモリが復旧が早いのは、地震を想定した工場施設に作り変えており、電力(バックアップ電源系)を自前で確保出来る事、製造拠点を台湾にもシフトさせている事、未来リスク回避経営を実施しているからである。
よっれ、ビジネスと連動させたBCP経営能力は、坂本社長は優れていると言えよう。

茨城県には、ルネサスエレクトロニクスだけで無く、つくばロームのディスクリート工場もあり、地震リスクを抱えたままの復旧操業となり、 現状でも同社安定操業は夏迄掛かるだろう。
ロームの強みは、300mmウェハを内製化(製造拠点は九州)している為、ウェハ供給リスク面は回避出来る。

信越半導体のウェハが完全復旧しなければ5月以降、連鎖危機が発生すると見ている。
しかし事態は、筆者の未来予測通りに進んでおり、東日本大震災の影響が無かったシリコンアイランドにもウェハはショーテージを起こし始めており、世界半導体サプライチェーンのメルトダウンに向かっている。
ハイテク産業界崩壊は、日本経済どころか世界経済を連鎖的に破壊して行くだろう。
インテル・サムスン電子・ソニーセミコンダクター(CMOSセンサー)・TSMC・エルピーダ⇒その他。
この中では、代替えが効かないCMOSセンサー向けウェハが供給危険水域に入っていると筆者は分析している。
既に、ソニーセミコンダクターはデジタルカメラ&DVC用CMOSセンサーだけでなく、利益率の高いスマートフォン向けカメラモジュールの生産に入っており、ビジネス規模から判断してカメラモジュールへの戦略的供給量を増やすことが考えられ、外販の日本デジタルカメラメーカーに対するCMOSイメージ供給量は絞られて行くものと見ている。
今後、日本経済と産業を支える“自動車⇒デジタルカメラ⇒スマートフォン”と部品調達と連動し、実経済にダメージを与える事となる。

※重要関連記事:ソニー、「iPhone 5」にカメラ部品を供給か--CEOが示唆
http://japan.cnet.com/news/service/35001232/
※関連記事:信越化学が月内に白河工場を一部再稼動、全体再開の見通しは立たず
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-20619020110414

これらが、筆者が数年前から日本企業に警告していた未来予測のメカニズムの『エコノミック・シヴァ現象』である。

※ブログ内予言重要検証⇒『エコノミック・シヴァ現象』メカニズム理論
●2010年7月28日水曜日
シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑩
http://a-gd.blogspot.com/2010/07/3_28.html

(茨城県沖~内陸部地震が発生した場合)日本経済⇒世界経済に最も影響を与える可能性が高いのが、鹿島コンビナート群に関する石油化学メーカーである。

【ルネサスエレクトロニクス関連分析】
●2011年4月1日金曜日
緊急分析:ルネサスエレクトロニクスが100日プロジェクトで下した経営判断ミス
http://a-gd.blogspot.com/2011/04/100.html



※重要情報:2010年世界半導体市場の売上、前年比30.9%増


【更新⇒最新情報】
※関連記事:ルネサス<6723.T>、那珂工場で6月15日から200ミリラインの生産を再開

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK058158020110422

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