シリーズ6:ハイテク日本再起動計画の提言⑧

超高速近傍界通信市場を日本の技術で勝ち取れ!”TransferJet”普及促進こそ、日本電機・半導体企業の国際競争力強化の武器となる
筆者が今回のテーマである近傍界通信の評価分析を始める前に考えて頂きたい。

読者の皆さんは、昨日(2011年1月20日)をどう捉えたのか?
日本にとっては、2回目の『世界大戦』における敗戦日なのである。
1回目は、『米国率いる連合軍の第二次世界大戦(1945年8月14日)』
2回目は、『世界経済戦争』、日本に競り勝ち中国は、GDP世界第二位のポジションを確保したのである。
※関連記事:中国、GDP世界2位へ 前年比10.3%増で日本抜く
http://www.asahi.com/business/update/0120/TKY201101200149.html
※関連記事:国GDPが日本上回り世界2位へ、過度の依存は日本経済リスクに
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-19120120110120

管首相も日本の政財界もこの『中国との戦争』に負けたことを恥じることなく、メディアに祝辞・賛辞を送っている。
例えば、「まだ、底力がある、質で存在感を出す、日本には優れた技術力がある、中国からお裾分けして頂くなど・・・」。
2013年グローバルの産業構造が大きく変わる未来社会の姿が、見えてない発言の数々である。


本当に、危機意識が欠如した愚かな国である。
日本国の持続的成長(サスティナビリティー)をどう国民に約束するのか? 
日本国民(日本人)に豊かな生活(食糧・教育・衣服・社会保障など)させるための国家経営をどうすべきなのか?
この資源なき国は、経済でしか生計を立てられないのである。
日本国には、まったく戦略がない。
下記の協定などは、最たる事例である。
米国民は、日本が米国に資金的貢献していることは、理解していないのである。

※関連記事:思いやり予算特別協定案に署名 前原外相と駐日米大使
http://www.asahi.com/politics/update/0121/TKY201101210191.html

対照的なのは、中国胡錦涛国家主席の米国訪問である。
経済大国としての武器”資金(金)”で、米国ハイテク企業の物を買うことにより米国世論を封印し、中国政府系ファンド(SWF)がフロントに立つ大手米国ファンド企業与えグローバル企業に巨額資金を与え企業買収を進めている。(ビジネス・技術・ノウハウを吸収)
中国国家主席の米国訪問の密約はあるのか、ないのか?
日本はここまで裏読みしておく必要があるだろう。

※関連記事:恐るべし中国外交、核心的利益の言質取る
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5304?page=3

共に、国家体制(アジア型共産主義・アングロサクソン型自由主義)と思想が異なる大国として対等な外交を行うための手法としては、潤沢な資金(経済力)で急速な近代化を図る中国の軍事力を背景に、米国側と交渉する。
民間レベルでは、韓国のサムスン電子李健煕(イゴンヒ)会長である。

※関連記事:サムスン、LG躍進! 日本は世界一を守れる?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3887

両者の野心的かつ戦略的な国家・企業経営は見事である。
インテリジェンス、マーケティング、そして戦略なきことが、いかに国や企業を衰退するか、まさに日本国民は身をもって経験しているのである。
筆者が、このブログで毎回、馬鹿の1つ覚えのように、”インテリジェンス・マーケティング・戦略”という言葉とハイテク分野での重要性を強く説いているのは、混迷する日本としての国家で必要なことであり、第二次世代大戦に導いたのは、陸軍幹部だけでなく、マスコミも加担しており、日本人がサバイバルして行くためには、マスコミの情報をフィルタリングする能力が必要なのである。
この十数年間日本国・日本人(政治・産業など)を自信喪失に陥れるための率先してプロパガンダ活動をして来たのは、日本のマスコミである。
日本国・日本企業・日本人がこの国を再度、『ハイテク産業国の日出国(ひいずるくに)』として、輝きを取り戻したいなら、情報を自らが選別し、分析する能力を付け、真の日本人として開眼することが日本再起動計画実現に向けた第一歩であろう。
そして、良き軍師を手に入れることである。
筆者の提言としては、インテリジェンスと戦略を身につけるためには、現代の(民生レベル)の『中野兵学校』がこの国には必要である。
欧米列強国(新興国:ロシア、中国)は、軍も民間レベルも戦略担当の人材教育機関があることを理解して頂きたい。

※関連記事:陸軍中野学校
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E8%BB%8D%E4%B8%AD%E9%87%8E%E5%AD%A6%E6%A0%A1

この日本国には、後5年の猶予しかないことも予言しておきましょう。


【近傍界通信:人体通信技術の評価分析】
下記の図表は、近傍界通信の中の『人体通信技術』をベンチマークしたものである。
人体通信の方式的は、電界方式が本命であり、電流方式はほぼ絶滅状態である。
このブログ内でも検証したが、Qファクター社と東京大学 生産技術研究所が推進する元ソニーの技術である”準静電界方式”は、今デモ機を試作するより、まず理論と物理現象を実測データで証明することが先決であり、これが証明されない限り、システムの安全性(人体に対する影響)や信頼性(安定性含む)の課題がクリヤーされないので、企業は採用すべきでないだろう。
仮に、準静電界方式採用をした電子機器は、全てのリスクを企業側に負わされることになる。(信頼性や特許係争リスクも含む)

筆者は、ユニークな準静電界方式を完全否定している訳ではないが、電子機器に技術を組込み量産するには、まだ準備しなければならないことが多いということを言いたいのである。
今年の半導体パッケージ展に豊通エレクトロニクスが、この方式採用のデモ機を参考出展としていた。
筆者も自ら試したが当然のことながら、通信は以前、安定せずの状態であった。
(ソニーR&D時代のまま技術の改善はされていない)

※関連記事:カーエレ 2011】第3の電磁界で消費電力削減へ、豊通エレが新通信技術をデモ

http://eetimes.jp/news/4537

既に、商品化のアナウンスをしているタカラトミーは、日本の玩具メーカーであり、企業として子供たちに安全かつ不具合のない商品届ける義務がある。
基本原理のメカニズムが解明されていない技術を市場、特に子供向けの商品に展開するのは危険な行為である。
同じ玩具メーカーである任天堂の3DDSも7歳以下は、使用禁止のアナウンスを出している。
この点では任天堂は、良識ある企業ということである。

※関連記事:人体通信、低価格で、東大が新技術――タカラトミー、玩具に採用。
http://www.shopbiz.jp/ss/news/53520.html

準静電界方式は、アーリーステージ段階でもアーリーということで、東京大学 生産技術研究所で基本原理を早急に究明して、開発環境整備した上で、日本発の技術として世に出して頂きたい。
実用化に向けた準静電界方式の基本原理の解明が、東京大学 生産技術研究所の使命であろうと考える。

筆者の米国政府の人脈情報では、人体通信の関する「規格化」は、米軍の次世代兵器システムとしての開発を進められている”フューチャー・ソルジャー規格”(?)されるのではないかと見ている。
何故、?は、この規格に該当するかどうか調査が完全に出来ていないで、まだ確約出来る情報でないということである。
米軍の次世代の兵士は、BANのセンサーを全身に搭載し、兵士のリアルタイムな情報を集め、コマンダーに送られる。
(発汗、心拍、呼吸数、CO2、血糖値、体温、筋肉の収縮度を人体情報をセンシングすることで、緊張、精神状態の把握が出来る。これにより、コマンダーが兵士の状態を正しく把握出来る。遠隔でより正確な適切な指示によりオペレーションの成功率と部隊の人命確保が可能となるだろう)
このシステムに搭載するBANは、3~5 年以内に規格化(通信プロトコルなど)されるので、日本企業の本格的人体通信採用は、この時間軸に合わせることを推奨する。
このBANのアプリケーション開発事例のように、人体通信の本命は”センシング技術”としての応用である。
米軍だけでばく、日本の自衛隊の研究所でも人体通信を想定した装備開発は進められているのではないかと見ている。
民間では、IMEC社がHuman Body++とプロジェクトで、BANのシステム&;デバイスに高い開発プラィオリティーを置いている。

今直ぐに商品化したい単純かつ低レートな人体通信であれば、筆者は独ident社の技術を推奨する
何故なら、ライセンス費用が発生する準静電界方式のQファクター社とは異なり、ライセンスフリーで開発出来き、量産時にロイヤリティーを支払うビジネスモデルであり、自動車アプリケーションを狙う自動車メーカーや海外大手半導体メーカー、ロームなどは、このident社の人体通信の技術を採用している。

下記の記事のようにコニカミノルタと大日本印刷は、人体通信を認証MFPシステムに応用した製品を開発しており、実用化に近づいていることは間違いない。
※関連記事:コニカミノルタと大日本印刷が共同開発した世界初の「人体通信カード認証MFPシステム」
http://www.konicaminolta.jp/about/release/2010/1029_01_01.htm




【近傍界通信:TransferJet技術の評価分析】
筆者の記憶が正しければ、日本が無線通信分野で規格化出来たものはIR(赤外線)とこのフェリカ、TransferJetしかない。
ミリ波通信、可視光高速通信などは、未だ未来技術なのである。

IRも世界のアプリケーションに普及した技術であるが、今後は急速衰退する。
大きな要因は、IRを搭載しているのはガラパゴス携帯の日本だけになっており、テレビ用リモコンもスマートTVへのシフトで、無線LANがこの市場を奪うのである。
読者の皆さんも承知していることだが、現在のグローバル携帯では、IRを搭載していなのである。
日本電機メーカーは、TransferJetがソニーが開発した技術、ライセンス、ロィヤリティー、部品コスト、消費電力など小さな課題を大きく捉え過ぎており、この技術を採用に向けて、真剣に検討していない。
現在、商品化をしている(進めている)のが、ソニーと東芝であり、このソニー半導体以外にもCTECでのTransferJeのSDカード搭載発表から推測すると東芝セミコンダクター社もTransferJetを2年以内にデバイスを製品化して来るだろう。
筆者ソニー半導体もTransferJetチームと打ち合わせをさせて頂いたが、既に第二世代目にデバイスは移行しており、デバイスのチップサイズも消費電力もかなり改善し、実用領域になったと判断している。
確かに、TransferJetとソニー側も本気で普及されるためるには、こう少しユーザー目線に降りてくる必要があるが、日本電機メーカーや携帯端末メーカー(通信キャリア)はTransferJetの『”タッチアンドゴー”のコンセプトである容易に繋がる』利点を気付いていない。
本来は、アプリケーションを意識した日本の独自技術として、日本企業が支援すべき技術ある。
TransferJetがアーキテクトGDが推進しているプロジェクト+ある技術とコンバージェンスすれば、世界の電子機器システムを大きく変えることが出来る要素技術であることを認識して欲しいと筆者は明言しておく。
ただし、TransferJet採用にも時間が限られている。
それは、Wi-Fi Directが登場してくるからである。
近傍界通信分野は、NFCやWi-Fi Directのデバイスは、欧米企業支配となり、日本企業の差別化は更に難しくなるのである。
今、日本国、日本企業、日本人(技術者・マーケティング・営業)に必要なことは、日本企業同士の競合意識でなく、協業する戦略と実行であり、本来の日本人の姿に立ち返る製品開発⇒『メイド・イン・ジャパンを品質・実力を世界市場で認めさせたい』とう原点に返って欲しい。
日本人(日本企業)同士の足の引っ張り合いは、海外企業にとって都合が良いことなのである。
日本人は、ここに気付き、日本の勝機(商機)を掴んで欲しい。

※関連記事:Wi-Fi機器同士を直接接続、「Wi-Fi Direct」対応製品まもなく登場
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/26/010/index.html
※関連記事:TransferJet
http://www.transferjet.org/




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