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2010年7月27日火曜日

シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑨

予告第2弾、B4-Flashメモリ技術のGENUSION社を再評価する
シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑥ 危ぶまれる日本政府系ハイテクファンドのデューデリジェンス『国家財源の無駄遣い』続いて、B4-Flashメモリ技術のGENUSION社を読者の皆さんと一緒に再評価しましょう。

日本 政府系ファンドの産業革新機構(INCJ)は、第3号投資案件として、半導体メモリ技術会社のGENUSION:ジェニュージョン社に26億円を出資すると発表した。
INCJは、国家の資金も投入されている訳だから、投資の可視化が絶対に必要である。

※関連記事:産業革新機構,今度はNOR型フラッシュのGENUSIONに最大26億円投資
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100510/182434/

INCJは当面16億円を出資、事業進展に応じて増額する方針で、社外取締役を2人派遣するとしている。
同社事業計画では、次世代メモリは携帯電話やデジタル家電の記憶装置として利用が見込まれるというが、筆者の客観的な評価分析では、大手半導体企業(サムスン電子、Numonyx社やIntel社など再参入)の競合メモリ技術となるユニファイドメモリが立ちあがって来るので、答えは"No"である。
同社は2015年までに売上高750億円 と株式上場(IPO)を目指しているという。

※関連記事:PRAMの時代が始まる、Numonyx社の1Gビット品量産はいつか
http://eetimes.jp/news/3365

では、筆者のユニファイドメモリの技術の過去のベンチマークを紹介しょう。






※関連講演:第五回半導体メモリ・シンポジウム
「『Windows Vista』の半導体へのインパクトとその後を読む」
http://techon.nikkeibp.co.jp/seminar/070130.html

※関連記事:「世界で勝つ」秘訣はあるのか
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070205/127360/

※GENUSION社メモリ技術関連技術
http://www.genusion.co.jp/design.html

GENUSIONのIPOは、中国など新興国での上場なども視野に入れば、可能だと思うが2015年までに750億円の売上は、まず不可能であろう。
奇跡が起きない限り・・・。

↑検証:サムスン電子のモバイル機器用PRAM市場規模は、2010年1000万ドル(約9億3190万円)から2013年には5億5000万ドルに急増すると見込んでいる。

 
このことは、半導体に従事する専門のプロ(一般のメーカー/代理店の営業職でも)であれば、5年先のメモリ市場と単価予測、同社の製造パートナーローム社のローム浜松工場での、微細化能力90ナノノード、価格競争の厳しい世界で、大量消費、世界のメジャーアプリケーションへのデザイン・ウィンは極めて難しいということが読者の皆さんにもご理解頂けるでしょう。

何故、ロームが製造パートナーなのかについても分析しておこう。

GENUSION社は、三菱電機半導体メモリ事業部(DRAM,MCP)の技術が主力部隊の企業である。
三菱電機半導体事業部からスピンアウトした方であるので、三菱電機と日立製作所の統合半導体会社であるルネサステクノロジが初期段階は、製造委託を受けていたがルネサステクノロジのAND型Flashメモリ撤退と連動して、製造FABが変わらざるおえたのではないかと見ている。

システムメーカーにもファブレス型モデルでのメモリ供給は、供給性、実装パッケージの多様性(MCP、3D TSVも含む)、製造キャパシティー確保(巨額の設備投資も不可能)と一番の課題は、ユニファイドメモリ(PRAM、MRAMなど)との競争で、絶対に、デファクトが取れないということである。

モバイル機器の携帯電話のOS格納には、PRAM(相変化メモリー)が最適である。

※関連記事:サムスンが携帯電話用PRAM供給、世界初
http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2010/0428/10070050.html

仮に、半導体ベンチャー企業がIPモデルにシフトしたとしても、大企業に技術補完という目的で、買収劇に巻き込まれるだろう。
誤解ないように説明しておくと、GENUSION社がこの買収劇に巻き込まれるとうことでなく、この半導体世界での過去5年間の実績を見てもベンチャーIP企業は大企業に吸収されているからである。

※半導体IP企業買収履歴の関連記事:Synopsys社、Virage社買収で最終合意へ
http://ednjapan.cancom-j.com/news/2010/6/6865

Virage Logic社、Impinj社の不揮発メモリーIP事業を520万米ドルで買収
http://ednjapan.cancom-j.com/news/2008/7/2158

eSilicon社、Silicon Design Solutions社を買収
http://japan.cnet.com/release/story/0,3800075553,10449600,00.htm

Virage社がARC社買収へ、ハードウエア/ソフトウエアIP群の補完を狙う
http://ednjapan.cancom-j.com/news/2009/8/5424

ARM、SoC技術のArtisanを買収
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0408/24/news015.html

Spansion,Saifunの買収を発表(07/10/9)
http://www.semiconductorjapan.net/newsflash/semicon/071009_03.html

IPベンチャーで健在なのが1TSRAMの米国MoSys社ぐらいかもしれない。
10年ぐらい前に、筆者は同社の基調講演を新横浜でのホテルで行い、同社の技術がASIC/SoCソリューションの中で、成功することを分析発表したことを覚えている。
なぜなら、同社は技術ありきでなく、戦略的マーケティング志向によるアプリケーションにフォーカスしていたからである。
http://www.mosys.com/

↓この図表のデータにあるように、2010年3月期および4月期におけるEDAベンダー/IPプロバイダの四半期決算を見れば、現在の勢力図は理解出来るはずである。

※Samsungとの和解でRambusの売上高が492%も増してARMを抜いたEDA/IP決算
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100708/184087/


GENUSIONの先進的な技術の発想は、古き良き時代を経験した元三菱電機メモリ事業部長であった、中島社長のメイドイン・ジャパンとしてのメモリ技術は、評価に値するところである。
同社は、大阪大学などと高速でデータを書き込める次世代メモリB4-HE(Back Bias assisted Band-to-Band tunneling Hot Electron) を共同開発しており、革新機構の出資で開発と量産を進めるとしている。
特徴は、B4-FlashメモリはNOR型Flashメモリと同等の高速読出し、 NAND型Flashメモリ並の小さいメモリサイズに加えて、高速書込みを実現出来るというものである。
AGDが仮に、同社メモリをデザインインするのであれば、利益が確保される特殊業界のパチンコ機器をターゲットに置くだろう。
機能は、VRAMメモリライクなアプリケーション、このパチンコ市場は特殊性もあり、同社のようなメモリはニッチ狙いには最適である。
そして、高速の画像データ処理が必要とされている。
当然、日本だけのガラパゴス市場であり、デジタル家電のようなグローバル市場競争とは違い、競合企業も少なく、単価下落も急激ではない。
よって、ベンチャー向きの市場とも言えよう。
大量消費アプリケーションではなく、ニッチ(特定用途向け)メモリが、B4-Flashメモリの本来スィートスポットであると筆者は考えている。
技術の優位性と実メモリビジネスは、違うのであることをINCJには理解して頂きたい。

GENUSION社のメモリ技術を競合企業メモリ技術(市場性)と特許評価をこれから分析して行く。
下記の分析は、2008年にAGDが知的財産評価専門の当時のIPB社増山社長に、直接依頼して評価を行ったものである。
NAND型の優位性と既に撤退したAND型やDiNOR型もこの評価分析の対象としている。
この資料にGENUSION社B4-Flashを評価すれば、導き出したい答えは出るだろう。
この時の目的は、東芝陣営の米国SanDisk社に対して、サムスン電子が買収の動きが出始めそうな気がしていたので、筆者の早期警戒のための準備資料であった。
当然、経済産業省の幹部にもボランティアの一環として、情報提供していた。

この日本において、GENUSION社のようなベンチャー半導体ビジネスモデルを確立させるのは、極めて難しい。
・開発資金手当て
・製造FAB
・大量消費モデルの場合の、微細化ロードマップ
・IPビジネスモデルと世界強豪とのデファクト争い
・日本半導体メーカーの最大の弱点、トータルソリューション能力とデザインウィン能力(これは、技術ありきの視点が故)
・IPビジネスモデル VS 汎用メモリのビジネスモデルには、どちらも一長一短がある(IPモデルの継続した成功事例はARM社のみと見た方が懸命である)
・IPとしてのプロセス・トランスファーサポートとビジネス制限(ライセンスモデル)
・マスボリュームを狙う戦略であれば、更なる戦略パートナーが必要となり、メモリ安定供給とASP単価下落に追従できる企業財務体質が必要となる。
INCJは、上記のようなビジネスリスク要因も十分理解した上で、投資判断をしたということを信じ、日本の半導体ベンチャー育成に、真剣に取り組んで頂きたい。
特許や技術の優位性だけでは、システム企業には採用されない。
採用されなければ、売り上げは上がらず、企業は成長しないということである。

現政府は、日本政府のSWFであるINCJの投資選定プロセス可視化し、国民が将来国のハイテク投資によって潤えるよう、また投資案件は、平等にかつグローバルで絶対勝てる技術と経営センスを持った企業のみに投資をして頂きたい。

※関連記事:サムスン社がサンディスク社の買収を検討、複数の報道機関が報じる
http://eetimes.jp/article/20553