シリーズ5:崩壊する日本ハイテク産業のエピローグ➁

▮世界の家庭ゲーム機メーカーのパイオニア、任天堂ポータブルゲーム機の凋落シナリオ
今、日本のポータブルゲームメーカー、任天堂とソニーは大きなビジネス危機の中にあると断言出来るだろう。
そして、パナソニックも携帯ゲーム参入の噂もあり、仮にこれが本当だとするとパナソニックのマーケティングの担当者には、この分析ブログを読んで欲しい。

※パナソニックが携帯ゲーム機を開発?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1010/05/news107.html
【~略~】パナソニックが携帯ゲーム機を開発していると、米国で複数のサイトが報じている。このゲーム機は「Jungle」という名称で、オンラインゲーム向け。折りたたみ型でゲームボーイアドバンスに似ており、QWERTYキーボード、デュアルDパッド、ショルダーボタン、タッチパッドを搭載する。Linux搭載で、HDMI出力、3G接続を備える可能性も噂。
※関連記事:パナソニック「オンライン」で再挑戦

http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20101206-OYT8T00320.htm

※関連記事(米国市場予測、シェア、ユーザー層):2010年10月29日(金)経営方針説明会 / 第2四半期(中間)決算説明会 任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/101029/index.html

上記資料で読者の皆さんに、7枚目にのスライドを(DS米国ユーザー推移統計)を見て欲しい。
このスライドから何を読み取れただろうか?
2009年3月~2010年10月(厳密には、2010年3月と10月の対比)からほぼフラットで、逆に下がり気味の傾向にあるのである。
これと米国アップル社の業績、特にiPhone/iPod/iPad出荷台数(シェア含む)がこのデータと密接な関係にある。
 
下記の記事のアップル社決算は発表のデータでは、2010年7~9 月期では、旧型を含むiPhone全体の販売が、前年同期比91%増の1410万2000台に達した。iPadの販売は418万8000台であった。
世界のメディア・タブレット販売台数が2010年に1,950万台、2011年には5,480万台に急増するとの予測をGartner社が発表している。
需要が拡大しているiPadのようなメディア・タブレットが、ネットブックPCのようなコンピューティング・デバイスの市場とポータブルゲーム機(これは機能として)を侵食されていく。
よって、ポータブルゲーム機市場は、スマートフォンとディア・タブレットの両方向から強いプレシャーを掛けられる。

※関連記事:アップルが過去最高業績 7~9月、売上高1兆6500億円 iPhoneなど好調
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101019/fnc1010190750000-n1.htm
※関連記事:アップル4Q決算、iPadとiPhoneの好調で大幅な増収増益
http://www.computerworld.jp/topics/apple/189538.html
※関連記事:上半期の国内スマートフォン出荷シェア iPhone6割で独り勝ち
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101026/biz1010261701017-n1.htm
※関連記事:Android、米スマートフォン市場でiPhoneを抜いて2位に――米Nielsen調べ
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1008/03/news015.html
※関連記事:米携帯電話市場トップはSamsung、スマートフォンOSではAndroidが上昇
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20101104/353751/

更に今後は、androidスマートフォンのサムスン電子のギャラクシーSなど端末が普及し、ポータブルゲーム市場は、急速に縮小に向うことが容易に想像出来る。
(これは現状のビジネスモデルにおいて)
要因はいくつか挙げられる。
 
・アップル社A4プロセッサのような高性能1GHzARMプロセッサが標準搭載(今後は、デュアルプロセッサへ移行する)
・内蔵NANDフラッシュメモリやモバイルDRAMも大容量化(androidはメモリI/Fも拡張性あり)
・3G通信が搭載(またはWAN)、UIがユーザーフレンドリーかつゲームの遊びの世界に新たな付加価値を生みだす(加速度センサーやCMOSカメラモジュール)
・近い将来、大容量ブロードバンドLTEスマートフォンのインフラ環境が整うロードマップ
・通信機能によりグローバルの人と会話・対戦出来る
・ゲームアプリが多彩(任天堂管理下のソフトウェア・サプラィチェーンでない)
・ゲームアプリメーカーがグローバル地域で開発(これが多彩のソフトと短期に、安価に開発)
・携帯ゲームの『無料化』(時間・暇つぶしから懐かしいゲーム、長時間遊べるRPGなどまで)
・2011年はGPS連動型ゲーム時代の幕明け(ジオゲー)
・子供達がゲームをするための時間がない(BOP社会はゲーム機が買えない)
・大人世界は、携帯からスマートフォンへの乗り換えで、スマートフォンをプラットフォームとしてゲームアプリで時間を潰しをするようになる(ライフスタイルの変化)
・任天堂、ソニーの専用ハードウェア向けのソフト開発費用が増大と販売リスクが拡大と大手ソフト企業の再編(※ゲームソフト業界は、電子書籍と同じ、作り手と買い手が電子ストア内での取引となり、仲買人の仕組みは自然淘汰され、産業構造が変わる)
 
※関連記事:界再編で規模を拡大しても「勝ち組」「負け組」二極化進む
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/business/2010092806-diamond.html
※関連記事:目指すは売上高4000億円 DeNA南場社長が示す「世界一」戦略
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/01/news098.html

任天堂の新戦略3D DSもスマートフォンの裸眼型3Dディスプレィで完全に差別化は出来ない。
任天堂の強みは”マリオ”に代表されるユニークなキャラクター群であるが、SEGAのように、ハードを切り捨て、仮にソフトに特化した場合、その運命は同じことになると考えられる。

今、日本のポータブルゲーム機メーカーは、新たな仕掛け仕組み作りが必要とされている。
今後AGDは、そのような新たらしい仕掛け・仕組み作り(ビジネスモデル&開発)を提案して行く予定である。

【過去予言の検証】
連載:半導体ウォッチ(14)『ゲーム機向け半導体ビジネスを奪われたニッポン』
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/siliconeswatch/14/siliconeswatch14a.html
次世代機が市場に浸透し、ますます激しい戦いを予感させる家庭用ゲーム業界。生き残るのは誰か? 今回は家庭用ゲーム機市場の未来を分析する。

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