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2010年11月10日水曜日

シリーズ5:崩壊する日本ハイテク産業のエピローグ➀

日本LED企業の雄、日亜化学の凋落シナリオ
徳島県阿南市に本社を置く、LED企業日亜化学工業。
2005年~2006年の間に、筆者は2度訪問し、社長や役員にブリーフィングをし、会食したことを記憶している。
十数年前までは、大手日本半導体企業の経営者は、ノーマークの関心の無い企業であったろう。
急成長を続けてきた日亜化学も、2010年10月をピークに、実質成長は止まるだろう。
日亜化学に多額の利益を生みだしてきた『404特許』、いわゆる青色、白色系LED製造に関する基本特許が特許出願より20年が経ち、特許切れとなったのである。

※関連記事:Q6-3 特許の存続期間とは?
http://www.tokkyonavi.com/qanda/term/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%81%AE%E5%AD%98%E7%B6%9A%E6%9C%9F%E9%96%93.html

このことが意味することは、日亜化学、日本LEDメーカーの成長が急速減衰し、東アジアLEDメーカーが更なる勢力権を拡大するということである。
既に、積極・大規模投資を表明している東アジアLEDメーカーに制空権を握られていると言った方がいいかもしれない。
白色LED照明やLEDTVの急速な普及で、韓国・台湾勢が白色LED分野で堂々と市場に参入してくる(している)のである。
青色LEDの発明者である中村修二氏が日亜化学を去ってここ数年は、周辺特許は出願されているもの、革新的特許は出されおらず、近年はアジアLEDメーカーに対する「攻撃的特許策」を講じ、係争を積極的に展開している。

※関連記事:中村修二
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%BF%AE%E4%BA%8C

中村氏と日亜化学で係争した世界でも有名な『404特許』は、青色・白色LED製造に関する基本特許のことである。
※関連記事:404特許
http://ja.wikipedia.org/wiki/404%E7%89%B9%E8%A8%B1

周辺特許もあるので、”初期の特許が切れる⇒特許網の即、崩壊する”言えないが、特許で企業が守られていた外堀が一瞬で埋められ(大阪冬の陣状態)、製造に関する基本特許が切れ周辺特許の比率が多くなるほど特許網の穴が広くなるのである。
アジア系LEDメーカーも多くの周辺特許を出願しており、日亜化学はこれら特許と逆に争うことになる。
日亜化学も実LEDビジネス((グローバル企業へのデザインイン)と生産・大規模投資という面で、グローバル企業と正面から激突し、競争することになる。
電子産業界の携わるマスコミは、今の日本ハイテク産業(企業)がどのような状況に置かれているか?耳障りのいい言葉を並べるのでなく、読者に真実とリスク情報を正しく提供して欲しい。

今回は、2010年10月に日亜化学『404特許』切れた影響度の検証、これをメインテーマとして取り上げ、AGDの独自評価分析とデータを挙げ、日本LED産業の崩壊のシナリオを下記のパワーポイントで公開しよう。

唯一、日本LEDメーカーに救いがあるのは、LED製造の原材料のサファイア基板が日本企業がシェア率が高いこととサファイア基板価格上昇である。
よって、アジアLEDメーカーが大増産したくても今は、LEDの原材料サファイア基板(ウェハ)の供給困難状態が1年半近く続き、ウェハ企業は新興企業のは供給を回せる状況でないからである。
これは、外的要因に救われることは、神風的なパッシブな状態でしかない。
自給バランスを崩している状況下で、サファイア基板は、2010年Q4には年初倍額の2インチ1枚30~40米ドルになる。
(2インチのサファイア基板の価格は、2010年第1四半期は15米ドル以下であったが、第3四半期には25~30米ドルまで上昇している)
既に、取引口座のある大手LEDデバイスメーカーは第4四半期の価格について交渉を続けているが、30~35米ドルに落ち着く可能性が高まっている。
(新興LEDには、1年半先まで新規取引のウェハ供給は出来ないのである。AGDの調査では1年半先までのウェハ企業のバックログは一杯の状況である。)
LEDエコバブルとも言える価格高騰にも関わらず、LEDデバイスメーカーは製造ラインの停止を避けるために調達を優先し、先に入金するケースも出始めている。
このLEDバブルを作り出しているのが、LED照明に加え、LED TVバックライト用途で、急速に普及していることが大きな要因となっている。
LED TVのバックライトは、直下型(高品位)にせよエッジ型(普及モデル)にせよLEDを1台のTVに400~250個╱2010年モデルに搭載しているからである。

※関連記事:TSMC、照明機器向けLED工場を建設へ
http://eetimes.jp/news/3803
※関連記事:TSMC、LEDチップメーカーEpistarとのパートナーシップ締結を検討
http://flat-display.dreamlog.jp/archives/1336005.html
【Epistrの最新状況】
DigiTimesの記事によれば、台湾Epistarが発光効率162 lm/WのLEDを開発した。
2011年第2四半期から量産を開始する予定。
電流値は20mA、電圧は45mV、色温度は5000K。
同社は近年、ハイパワーLEDの開発に注力しており、赤色では168 lm/Wを実現している。
2010年末には白色(電球色)で130~150 lm/Wの達成を目指している。
尚、2010年第3四半期のLED照明製品の売上高は全体の約20%を占めており、2011年には30%
まで達すると見られている。

※関連記事(サプラィチェーン市場改善の明るい兆し)
世界初の6インチGaNウェハー、住友電工が白色LED向けに開発成功

http://eetimes.jp/news/4413