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2010年5月31日月曜日

シリーズ2:日本半導体産業復活のソリューションと警鐘 ➃

この記事は、EE TIMES JAPAN2007年10月号の原稿である。
現在の太陽光発電の助成金制度復活については、筆者が当時の安倍首相時代にロビー活動の一環として首相や経済産業省幹部などに、この資料の考えに肉付けしたものを提案し、福田ビジョンのプログラムとして、助成金が復活したものである。
読者の皆さんには、正しきロビー活動が「ニッポンの富国強産」のために、必要なことを是非理解して欲しい。
欧米、韓中も業界団体を中心に、ロビー活動は盛んである。
これも結束力のない、ニッポンハイテク産業の弱点と言えよう。
下記記事は、経済産業省の外郭団体の雑誌のイノベーション・クーリエでのインタービュー記事である。
一連のロビー活動の成果としてのご褒美だったのかも知れない。

太陽電池への支援策が再度必要にこのままでは半導体の二の舞
2007年7月16日に新潟県を襲った「新潟県中越沖地震」で、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が火災や放射性物質漏れなどの被害を受けた。
エネルギ供給の観点で考えた場合、原子力発電が重要なことに疑いの余地はない。
ただし同時にリスクを抱えていることも事実であり、今回の大地震で再認識させられた。

現在、欧州や米国は太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギへの傾倒を強めつつある。特に、最近まで再生可能エネルギの導入に保守的だった米国が一転、導入に対して積極的な立場を採り始めたことは特筆すべき変化だろう。

具体的には、米国の下院議会において2007年8月上旬に、再生可能エネルギによる発電量を2020年までに総発電量の15%まで引き上げることを電力会社に義務付ける法案が可決されたのである。
こうした再生可能エネルギの導入に対する欧米諸国の動きと比べると、原子力発電を中心に据える日本の動きは不十分だと言わざるを得ない。
もちろん、欧米諸国の方針をまねる必要はない。しかし当社(AGD)としては、京都議定書を議決した京都会議の議長国を務めたことに加えて、太陽電池に関する有力なメーカーを複数抱えている日本としては、太陽光発電に対する取り組みを加速させることが不可欠だとみている。

風前のともしびか
太陽電池市場は、少なくとも今後30年間はリセッションが到来しないと予測されている。

この将来有望な市場において国内メーカーは現在、高い競争力を保っている。2006年における太陽電池生産量の世界市場シェアでは、第1位にシャープ、第3位に京セラ、第5位に三洋電機、第6位に三菱電機と、国内メーカーが上位につけている。
しかし世界のエレクトロニクス関連企業がこの有望市場をこのまま放っておくはずがない。
しかも欧州連合(EU)のほか、ドイツやスペイン、米国などの各国政府による普及の後押しもある。このため、さまざまな海外企業が新規参入を果たしており、今後も参入する企業が増えることは間違いない。
代表的な新規参入企業としては独Q-Cells社が挙げられる。
同社は1999年に設立された新興企業だが、設立後わずか6年で世界シェア第2位へと躍り出た。
中国のSuntech Power 社も2001年に設立された新興企業である。
同社も短期間で生産量を急速に増やし、2006年にはシェア第4位に入った。
このほか米NanoSolar社やインドのMoser Bear社なども今後、多額を投じて大規模な太陽電池工場を建設し、市場に参入することを表明している。
新規参入企業が短期間で高い市場シェアを獲得できたのは、太陽電池市場がまだ離陸段階にあることが最大の理由だろう。
太陽電池による発電量は、世界の総発電量の0.15~0.20%にすぎない。
従って、多額を投じて生産量を増やせば、シェア上位の企業に追い付くことが可能なわけだ。
しかも、米Applied Materials社などの製造装置メーカーによる手厚いサポートもある。
製造装置一式を納入してくれるだけでなく、製造技術のサポートも提供してくれる。
多少の語弊はあるものの、「資金さえあれば、太陽電池を大量生産できる」状況にある。
国内の太陽電池メーカーは、1994年に始まった政府による補助金制度を追い風に生産規模を拡大させてきた。
ところが、この制度は2005年に打ち切られてしまった。恐らく、国内の一般住宅向け太陽光発電システム市場がほぼ立ち上がったことが打ち切りの理由だろう。
しかし海外市場での本格的な戦いはこれからである。
このままでは、国内メーカーは海外メーカーの攻勢の前に市場シェアを落とし、競争力を失ってしまう危険性が高い。
まさに風前のともしびだ。
税制優遇策の導入を半導体業界は1990年代前半まで、国内メーカーが世界市場をほぼ制覇していたといって過言ではないだろう。
しかし、1986年に米国との間で締結された「日米半導体協定」などをきっかけに、転落の道をたどり始めた。

1986年には半導体チップの世界売上高ランキングで上位3社を国内半導体メーカーが占めていた
が、現在では東芝が第4位、もしくは第5位に顔を出すのがやっとの状況にある。
上位10社に入っているのは、わずかに3社である。
当社は、「現在の太陽電池業界は、1980年代後半~1990年代前半の半導体業界に似た状況に置かれている」と分析している。
政府や業界がこのまま何も手を打たなければ、半導体業界と同様に転落の道をたどることになる。
こうした事態を回避するには、政府が何らかの支援策を講じる必要がある。
考えられる支援策は複数ある。
その中で当社が最も有効だと考えているのは税制優遇策である。
具体的には、太陽光発電システムを搭載した住宅を購入した一般家庭、もしくは既設住宅に太陽光発電システムを設置した一般家庭の所得税を控除する税制度の導入だ。さらに、太陽光発電システムを事業所や工場に導入した企業の法人事業税を発電量に応じて控除する税制度の導入も有効だろう。
こうした支援策を講じれば、国内における太陽光発電システムの導入件数は加速度を付けて伸びることは間違いない。
この結果、国内メーカーの太陽電池生産量が上昇し、売上高が増えて事業運営が安定する。
そうすれば、海外市場で海外メーカーと対等に戦えるようになる。
ただし国内の太陽電池メーカーは、生産規模を単に増強する方法で海外メーカーに対抗してはならない。
価格競争という「労多くして功少なし」的な戦いに陥る可能性が高まるからだ。
現在、国内の太陽電池メーカーは、技術的にも優位な立場にある。
研究開発費をさらに投じて、優位な立場を今以上に強固なものにすべきである。
太陽電池メーカーに対する注文はもう1つある。
ロビー活動にもっと力を入れることである。
日本国内には、「ロビー活動は悪」ととらえる向きがある。
しかし、日本の半導体業界が転落するきっかけの1つになった日米半導体協定が結ばれた背景には、米国半導体メーカーの米国政府に対する熱心なロビー活動があった。
米下院議会で可決された前述の再生可能エネルギ法案も関連業界によるロビー活動のたまものだ。
エネルギは国家戦略との関連性が特に強い。
このため政府と産業界が力を合わせて取り組む必要がある。
太陽電池市場にはこのほか、結晶系Si(シリコン)の原材料確保というレアアース課題もある。

こうした課題を含めて、今手を打てば十分に対応できる。
太陽電池市場の覇権を目指して、積極的に動き出そう。

※太陽電池関連記事『過去検証』
半導体ウォッチ(12)ニッポン太陽電池産業が地球を救う?(前編)
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/siliconeswatch/12/siliconeswatch12a.html

半導体ウォッチ(13)ニッポン太陽電池産業が地球を救う?(後編)
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/siliconeswatch/13/siliconeswatch13a.html

電子機器 イベントレポート(5)太陽電池産業は金融危機なんていってられない
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/eventrepo/05/sun1a.html

今花盛りの太陽電池、日本がリードしていたはずの太陽電池産業だが、このままで良いのか?
http://sammy-p.at.webry.info/200907/article_13.html

今後は多結晶シリコン型太陽
http://newsofsolarcell.blog.shinobi.jp/Entry/384/

太陽電池特集:主導権握る装置メーカー、高度化が生き残りのカギ
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34496620081024

焦点: パナソニック、三洋電買収で新時代の「水道哲学」展開へ
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-34799720081107

経産省が太陽電池普及の後押し「導入家庭へ20万円補助」 外国企業の侵攻に日本メーカーは勝てるか?
http://ameblo.jp/sukunabikona28/entry-10155650670.html

ビギナーのための「よくわかる太陽光発電」
http://www.kocho-net.com/magazine/h_denshi/200804.php

最新太陽電池技術の徹底検証・今後の展開
http://www.johokiko.co.jp/publishing/BB081102g.php

半導体・液晶産業と太陽電池産業の比較 【文献】
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902263417528426

イノベーション・クーリエ Vol.3 / Innovation Courier Vol.3
http://innovation-courier.net/archives/20090315-134727.html

金曜フォーカス 揺らぐニッポンの世界シェア
http://blogs.yahoo.co.jp/mmgg9876/13674146.html