BCP分析:茨城県を拠点とするルネサスエレクトロニクスの影響度分析➀

本日、ルネサスエレクトロニクス赤尾社長は、決算発表会の記者会見を開いている。
ひたち那珂工場稼働は、200ミリウェハラインの自動車用マイコン製造の一部を6月に再開するがある規模までの回復には10月まで掛かる。(赤尾社長の見通しは、代替え生産も含め震災前の生産水準には10月に達成出来るとしている。)
ルネサスエレクトロニクスは、5月末で在庫が尽き自動車・家電用マイコンの供給が深刻化するとしている。

※関連記事:ルネサスエレクトロニクス:「月末に在庫払底」 10月まで半導体不足懸念
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110519ddm008020127000c.html

これで、フル稼働+完全工場復旧では無い。
代替え生産として、他地域の自社工場や海外ファウンドリ製造委託しても年明けまで"デリバリー・トラブル"が続くであろうか。
ひたち那珂工場の300ミリウェハラインの被害は大きいと筆者は評価しており、このラインの再構築の投資を行なうのか?
同社の2011年売上と財務状況(現状は赤字)との判断で、どのような判断を下すのか注意深く見守りたい。
日本半導体メーカーとしては、非常に残念な事であるが、2011年世界半導体のルネサスエレクトロニクスの売上高シェアは大幅に"ダウン"する事が容易に推測出来る。
ルネサスエレクトロニクスの世界マイコンシェアは約40%(旧三菱、旧日立、ルネテク統合、旧NECアーキテクチャ)である。
ルネサスエレクトロニクスの自動車用マイコンの大手取引先は、日本はトヨタ自動車、米国はGM社、仏シトロエン社などであり、車載カーナビゲーションシステムは同社シェアは約60%超であるのでこの分野は自動車産業界のサプライチェーンは大ダメージを受けている。
トヨタ自動車のルネサスエレクトロニクスへの依存度が高く、ルネサスエレクトロニクスの復旧がトヨタ自動車の生産に直結しており、トヨタ自動車の業績不信は日本経済に影を落とす。
しかし、トヨタ自動車による部品の一人じめだけは避けて欲しい。
海外自動車メーカーにもバランス良く部品を供給しないと必ず報復を受ける事になるだろう。
この事は震災翌日の分析ブログでお願いしている。

※関連記事:ルネサスのマイコンが6~10月に供給不足へ、外部ファウンドリ含む代替生産対応を推進
http://eetimes.jp/ee/articles/1105/19/news015.html

【ブログ内の検証】
●2011年4月1日金曜日
緊急分析:ルネサスエレクトロニクスが100日プロジェクトで下した経営判断ミス
http://a-gd.blogspot.com/2011/04/100.html
●2011年4月16日土曜日
BCP分析:茨城県拠点のルネサスエレクトロニクス・その他企業のリスク①
http://a-gd.blogspot.com/2011/04/bcp.html
●2011年5月9日月曜日
スーパー・リセッションに備えよ!➁
http://a-gd.blogspot.com/2011/05/dramexchange-dram-dramexchange.html

自動車産業界の最新動向は、部品の共通化であるがそれより、日本政府(経済産業省と国土交通省)は、電気自動車の電池の共通化を図るべきあると筆者は考えて入ている。

※関連記事:自動車半導体部品、メーカー間共通化も
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110519-OYT1T00823.htm

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