シリーズ1:日本半導体産業復活への処方箋➀
日本独自の戦略マーケティングを独創せよ!そのキーワードは、「テクノロジコンバージェンス新システム」
▮日本半導体の凋落原因は、独創的なASSPを生み出せない
筆者は、現在のシステムLSIを世界に先駆けて開発し、ビジネスを創出してきたとういう実績を持っている。
過去の虚業のアナリストから実業の戦略マーケッター&アーキテクトとして、15年ぶりに現場復帰したのを機に、日本半導体企業の読者の皆さんに成功するためのビジネスノウハウを伝授したい。日本半導体の最大の弱点は何か?
それは、オリジナルなASSP(Application Specific Standard Product)を世に送る出せないことである。既に、ASSPの定義は1990年代初頭には存在していたが、今のようにASSPを必要とするデジタル家電用途の電子機器は、当時、まだ存在していなかったため、ASSPの地位は低かった。
1990年代の終わりにはASSPがASICの市場規模を超えたが、日本半導体企業はこの時点でもASSPを本命視できなかった。
それが今やデジタル家電電の高性能化、高機能化、小型化、省電力にはASSPが欠かせない確固たる存在にまでその地位は高上した。
今回は、このASSPについて取上げ、戦略マーケティングの視点からASSPを概説しょう。
▮これまでのASSP総括
海外リーディング半導体企業はシステム・メーカーと対等なパートナーシップ関係を構築する。
それまでにない最終製品の新市場の創出を目指し戦略パートナーと協働する。
新システム仕様/性能に不可欠なシステム新技術開発とその新技術をASSPで実現するための独自の新電子回路開発・最適な新プロセスとパッケージ開発を相互に受持つ。このシステム新技術はIEEEやその他標準化団体(フォーラム)へ上げてボード・メンバー役として標準化へ賛同する企業を募り、リーダーシップを発揮しながらその新技術がフォーラム・スタンダード(そして、これが後のにデファクトスタンダードとなる)になるよう精力的に活動する。
その半導体企業は開発したASSPをまず戦略パートナーのシステム・メーカーでシステム評価を受け、デバックを行い、チップを完全なものにして量産へ持っていく。その時、戦略パートナーのシステム・メーカーはリリースした半導体チップのユーザーでもあるため早期にビジネス立上げが計れる。新技術標準化参加企業も標準化したシステム新技術を採用して新システムを市場へ導入するためにわざわざリソースを使ってASICを起すより、そのASSPを使用してシステム構築を図った方が遥かにメリットがあることは自明なので、これまたASSPのユーザーとなりえる。
さらにそのASSPのリファレンス・デザインをWebで公開したり専任アプリケーション・エンジニアをアサインして強力なアプリケーション・サポート体制を築く。
こうして独創的かつオリジナルなASSPの市場は世界各地域へと広がっていくのである。
またプラットフォーム型ASSPの場合には、サードパーティのソフトハウスまで巻き込んだり、そのASSPが実装された新誕生の最終製品がデジタル個電の場合にはその最終製品の普及には魅力的なデジタル・キラー・コンテンツの有無が大きく左右するため、コンテンツ・プロバイダーまで巻き込むこともある。
さらに近年では半導体チップのハード形態ではなく、電子回路をIP化しソフトとして提供しビジネスを行う傾向が目立ってきている。
一方、21世紀に入り日本半導体企業(NEC、東芝、日立製作所、松下電器産業、三菱電機)はDRAMビジネスから撤退してからは、ロジック半導体事業注力だ、先端プロセス開発だ、やれSoCだ、いやSiPだのワン・パッケージへ集約するのが主目的に見えるシステムLSIを仕立て上げるメソドロジー(手法)に対し過熱気味状態の時間を過ごしてきた。
ところがその間、海外では、ZigBee、WiMAX、などの新無線規格や、たった一本のケーブルで、映像と音声を高品位なデジタル信号でやり取りできる、先鋭のデジタルA/Vインターフェイス規格 「HDMI」、セキュアディスプレイ用新規格「DisplayPort」と数々の最新規格がフォーラム・スタンダード化されてきている。
そしてフォーラム・スタンダード化をリードしてきた海外半導体企業がそれら規格に対応したASSPを開発し、いち早く市場に投入して先駆者利益に興じている。標準化団体に参加している技術力のある日本半導体企業は、同様のASSPを開発するもビジネス立上げで出遅れている模様である。
そもそも、日本半導体企業はエレクトロニクス機器セットメーカーである親会社とのインハウス・ビジネスに依存する部分が大きい。
親会社がセットを構成する電子回路情報をクローズするためのカスタム品としてASIC化する時、子会社の半導体企業がそのASICを受注し、そして納入する。そのASICの単独ユーザーである親会社が他のエレクトロニクス機器セットメーカーへそのASICを販売する事を了承した場合には、ビジネス水平展開ができるが、かれらの顧客は日系のセットメーカーが殆どである。
このようなASIC水平展開による言わばASICデリバティブ(派生的)で結果的にASSPとなる形態は90年代から続いてきた日本半導体企業のビジネスモデルである。日系半導体企業はこのような伝統的ビジネスモデルだけでは生き残れない。
今すぐにでも脱却すべきである。
▮ASSPからAoCへ
“ASSP”を訳せば”特定用途向け標準品”、ASICなどカスタム品に対する標準品であり、かつ広汎なアプリケーションをカバーする汎用品に対する特定用途品で半導体メーカー側の実にプロダクト・アウト的命名に写る。
そこでマーケット・ドリブンの指向で且つマーケット・フレンドリーな新用語を提起したい。
それは、AoC:Application on (a) Chip [アプリケーション オン (ア) チップ]である。
当社(AGD)が生み出したオリジナルコンセプトはAoCは、入力のセンサー~出力処理まで一貫したアルゴリズム実装型未来プラットフォームのコンセプトである。
分かり易く言えば、カメレロン・プラットフォームとも言えよう。
システムのあるブロック構成に必要な各機能をIP化して、プラットフォームとして提供するSoC (System on Chip)、同じSoCでも米国TI社が最初にネーミングしたと思われる Software on [SoC]Chipもあるが、AoCはこれらSoCの上位概念に当たる。
システム・アプリケーションが半導体チップへ実装された融合形態のものとして定義される。
これまでのように半導体メーカーが用意したシリコン・プラットフォームへシステム・メーカーがアプリケーションを実装するのではなく、半導体メーカーが実アプリケーション・アルゴリズムまで実装済みのAoCをシステム・メーカーへ提供できるようなレベルまで昇華することが望まれる。
▮AoCをテクノロジコンバージェンス新システムへ
この1~2年、ヒトの健康やくらし、社会の安全・安心、セキュリティ、万物の保護など ”ある状態”を対象とした新アプリケーションが俄かにクローズアップされだしている。
”健全・最適な状態”から不健全・不適な状態へ変化しそうであれば、それをいち早く検知・計測・推移記憶を行い、その変化を可能な限り未然に防止できるようにフィードバックする新システムであり、これは社会にイノベーションを起す力を温存する。
このシステムを構築するには、バイオテクノロジ、ナノテクノロジ、ロウパワーテクノロジ、ワイヤレステクノロジ、インフォメーション&コミュニケーションテクノロジ等々の各種技術を融合することが必要になる。
まさにテクノロジコンバージェンス新システムである。この新システムの要である”状態の変化”の検知・計測・推移記憶とその情報伝送のアプリケーションを受持つのがAoCになり、AoCには実アプリケーションのアルゴリズムが収納される。半導体メーカーだからといって、新システム、新アプリケーションの独創を行う事に対して遠慮する必要はない。
むしろこれからは積極的にシステム・メーカーへAoCによる技術融合新システムを提案していく時代が必ず来るだろう。
AGDは、このコンセプトで新半導体(新産業)開発をスタートさせたのである。
▮AGD社が今後開発する新半導体、システム
●高速人体通信・センシング用デバイス
●高効率型ワイヤレス電力伝送デバイス
●次世代ウルトラリゾリューションデバイス
●医療・ヘルスケア対応新端末コンセプト
▮日本半導体の凋落原因は、独創的なASSPを生み出せない
筆者は、現在のシステムLSIを世界に先駆けて開発し、ビジネスを創出してきたとういう実績を持っている。
過去の虚業のアナリストから実業の戦略マーケッター&アーキテクトとして、15年ぶりに現場復帰したのを機に、日本半導体企業の読者の皆さんに成功するためのビジネスノウハウを伝授したい。日本半導体の最大の弱点は何か?
それは、オリジナルなASSP(Application Specific Standard Product)を世に送る出せないことである。既に、ASSPの定義は1990年代初頭には存在していたが、今のようにASSPを必要とするデジタル家電用途の電子機器は、当時、まだ存在していなかったため、ASSPの地位は低かった。
1990年代の終わりにはASSPがASICの市場規模を超えたが、日本半導体企業はこの時点でもASSPを本命視できなかった。
それが今やデジタル家電電の高性能化、高機能化、小型化、省電力にはASSPが欠かせない確固たる存在にまでその地位は高上した。
今回は、このASSPについて取上げ、戦略マーケティングの視点からASSPを概説しょう。
▮これまでのASSP総括
海外リーディング半導体企業はシステム・メーカーと対等なパートナーシップ関係を構築する。
それまでにない最終製品の新市場の創出を目指し戦略パートナーと協働する。
新システム仕様/性能に不可欠なシステム新技術開発とその新技術をASSPで実現するための独自の新電子回路開発・最適な新プロセスとパッケージ開発を相互に受持つ。このシステム新技術はIEEEやその他標準化団体(フォーラム)へ上げてボード・メンバー役として標準化へ賛同する企業を募り、リーダーシップを発揮しながらその新技術がフォーラム・スタンダード(そして、これが後のにデファクトスタンダードとなる)になるよう精力的に活動する。
その半導体企業は開発したASSPをまず戦略パートナーのシステム・メーカーでシステム評価を受け、デバックを行い、チップを完全なものにして量産へ持っていく。その時、戦略パートナーのシステム・メーカーはリリースした半導体チップのユーザーでもあるため早期にビジネス立上げが計れる。新技術標準化参加企業も標準化したシステム新技術を採用して新システムを市場へ導入するためにわざわざリソースを使ってASICを起すより、そのASSPを使用してシステム構築を図った方が遥かにメリットがあることは自明なので、これまたASSPのユーザーとなりえる。
さらにそのASSPのリファレンス・デザインをWebで公開したり専任アプリケーション・エンジニアをアサインして強力なアプリケーション・サポート体制を築く。
こうして独創的かつオリジナルなASSPの市場は世界各地域へと広がっていくのである。
またプラットフォーム型ASSPの場合には、サードパーティのソフトハウスまで巻き込んだり、そのASSPが実装された新誕生の最終製品がデジタル個電の場合にはその最終製品の普及には魅力的なデジタル・キラー・コンテンツの有無が大きく左右するため、コンテンツ・プロバイダーまで巻き込むこともある。
さらに近年では半導体チップのハード形態ではなく、電子回路をIP化しソフトとして提供しビジネスを行う傾向が目立ってきている。
一方、21世紀に入り日本半導体企業(NEC、東芝、日立製作所、松下電器産業、三菱電機)はDRAMビジネスから撤退してからは、ロジック半導体事業注力だ、先端プロセス開発だ、やれSoCだ、いやSiPだのワン・パッケージへ集約するのが主目的に見えるシステムLSIを仕立て上げるメソドロジー(手法)に対し過熱気味状態の時間を過ごしてきた。
ところがその間、海外では、ZigBee、WiMAX、などの新無線規格や、たった一本のケーブルで、映像と音声を高品位なデジタル信号でやり取りできる、先鋭のデジタルA/Vインターフェイス規格 「HDMI」、セキュアディスプレイ用新規格「DisplayPort」と数々の最新規格がフォーラム・スタンダード化されてきている。
そしてフォーラム・スタンダード化をリードしてきた海外半導体企業がそれら規格に対応したASSPを開発し、いち早く市場に投入して先駆者利益に興じている。標準化団体に参加している技術力のある日本半導体企業は、同様のASSPを開発するもビジネス立上げで出遅れている模様である。
そもそも、日本半導体企業はエレクトロニクス機器セットメーカーである親会社とのインハウス・ビジネスに依存する部分が大きい。
親会社がセットを構成する電子回路情報をクローズするためのカスタム品としてASIC化する時、子会社の半導体企業がそのASICを受注し、そして納入する。そのASICの単独ユーザーである親会社が他のエレクトロニクス機器セットメーカーへそのASICを販売する事を了承した場合には、ビジネス水平展開ができるが、かれらの顧客は日系のセットメーカーが殆どである。
このようなASIC水平展開による言わばASICデリバティブ(派生的)で結果的にASSPとなる形態は90年代から続いてきた日本半導体企業のビジネスモデルである。日系半導体企業はこのような伝統的ビジネスモデルだけでは生き残れない。
今すぐにでも脱却すべきである。
▮ASSPからAoCへ
“ASSP”を訳せば”特定用途向け標準品”、ASICなどカスタム品に対する標準品であり、かつ広汎なアプリケーションをカバーする汎用品に対する特定用途品で半導体メーカー側の実にプロダクト・アウト的命名に写る。
そこでマーケット・ドリブンの指向で且つマーケット・フレンドリーな新用語を提起したい。
それは、AoC:Application on (a) Chip [アプリケーション オン (ア) チップ]である。
当社(AGD)が生み出したオリジナルコンセプトはAoCは、入力のセンサー~出力処理まで一貫したアルゴリズム実装型未来プラットフォームのコンセプトである。
分かり易く言えば、カメレロン・プラットフォームとも言えよう。
システムのあるブロック構成に必要な各機能をIP化して、プラットフォームとして提供するSoC (System on Chip)、同じSoCでも米国TI社が最初にネーミングしたと思われる Software on [SoC]Chipもあるが、AoCはこれらSoCの上位概念に当たる。
システム・アプリケーションが半導体チップへ実装された融合形態のものとして定義される。
これまでのように半導体メーカーが用意したシリコン・プラットフォームへシステム・メーカーがアプリケーションを実装するのではなく、半導体メーカーが実アプリケーション・アルゴリズムまで実装済みのAoCをシステム・メーカーへ提供できるようなレベルまで昇華することが望まれる。
▮AoCをテクノロジコンバージェンス新システムへ
この1~2年、ヒトの健康やくらし、社会の安全・安心、セキュリティ、万物の保護など ”ある状態”を対象とした新アプリケーションが俄かにクローズアップされだしている。
”健全・最適な状態”から不健全・不適な状態へ変化しそうであれば、それをいち早く検知・計測・推移記憶を行い、その変化を可能な限り未然に防止できるようにフィードバックする新システムであり、これは社会にイノベーションを起す力を温存する。
このシステムを構築するには、バイオテクノロジ、ナノテクノロジ、ロウパワーテクノロジ、ワイヤレステクノロジ、インフォメーション&コミュニケーションテクノロジ等々の各種技術を融合することが必要になる。
まさにテクノロジコンバージェンス新システムである。この新システムの要である”状態の変化”の検知・計測・推移記憶とその情報伝送のアプリケーションを受持つのがAoCになり、AoCには実アプリケーションのアルゴリズムが収納される。半導体メーカーだからといって、新システム、新アプリケーションの独創を行う事に対して遠慮する必要はない。
むしろこれからは積極的にシステム・メーカーへAoCによる技術融合新システムを提案していく時代が必ず来るだろう。
AGDは、このコンセプトで新半導体(新産業)開発をスタートさせたのである。
▮AGD社が今後開発する新半導体、システム
●高速人体通信・センシング用デバイス
●高効率型ワイヤレス電力伝送デバイス
●次世代ウルトラリゾリューションデバイス
●医療・ヘルスケア対応新端末コンセプト