緊急分析:日本半導体システムLSI統合の方向性に関して見解

筆者のロイター通信社に対する見解である。

<世界に通用する製品企画力・マーケティング力が必要>


垂直統合型もそれ自体が悪いわけではない。半導体最大手のインテル(INTC.O: 株価, 企業情報, レポート)は垂直統合型だが、パソコン用演算半導体という特定分野での世界市場を独占することで利益を稼ぎ出している。同じように半導体2位のサムスン電子もシステムLSI事業での量産品が米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型端末「iPad(アイパッド)」に使われており、特定顧客に入り込むことで急成長を遂げている。

垂直統合型と水平分業型のどちらにせよ、「生き残るために必要なのは、世界に売り込むための製品企画力やマーケティング力、人材だ」と、ハイテク業界のシンクタンク「アーキテクトグランドデザイン」のチーフアーキテクト、豊崎禎久氏は強調する

さらに豊崎氏が具体的に重要だと指摘するのは、「中長期的にどんなアプリケーション(自動車、携帯端末など半導体を搭載するハードウエア)が世界で伸びるかの見極め」だ。例えば、携帯電話用でクアルコムや台湾メディアテック(2454.TW: 株価, 企業情報, レポート)などは強い競争力を持つ。世界の競合相手は特定用途向けの汎用品を開発し、価格競争力のある製品を大量生産して成功している。特化する分野を見定め、自ら新たな市場を創造することが必要とされている。


<統合は外資の参入機会にも>

一方、統合はもろ刃の剣にもなりかねない。国際競争力のある日本の自動車向けなら、擦り合わせ技術やカスタマイズ生産が十分生かせるとの声もある。今後も世界での需要拡大が見込まれ、先端技術を駆使したハイブリッド車や電気自動車なら、システムLSIが活躍する場面も多いはずだ。
だが、部品は複数購買が基本だ。特に震災でサプライチェーンが寸断し、減産を余儀なくされた自動車メーカーにはその志向が強まっており、統合が外資の呼び水になる可能性もある。実際、ルネサスエレクトロニクスが誕生した時、米フリースケールなどに参入の機会を与えることになった。

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