緊急分析:『産業革新機構の投資スキーム』⇒東芝とソニーの中小型液晶統合新会社構想➀

筆者は、産業革新機構の投資案件である『ゼファー社、ジュニュージョン社、日本インター』について分析をこのブログに公開している。
是非、再検証して頂きたい。
この3社もまったくグローバル競争力が無い、技術優位性の無い投資であった。
総額は、約55億円規模(国の税金⇒経済産業省管轄)が投入されている。
産業革新機構の投資案件は、国家ハイテク産業支援&補完強化戦略ではなく『出来合いのレース』に近い。
5年後の投資結果の未来は、筆者には見えている。

【ハイテク産業界の未来予測ブログ内の検証】
●2011年3月4日金曜日
シリーズ6:ハイテク日本再起動計画の提言:番外編⑫
産業革新機構第10号案件、日本インター投資の再評価を行う
http://a-gd.blogspot.com/2011/03/6_8159.html
●2010年7月27日火曜日
シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑨
予告第2弾、B4-Flashメモリ技術のGENUSION社を再評価する
http://a-gd.blogspot.com/2010/07/3_16.html
●2010年7月16日金曜日
シリーズ3:日本(国)ハイテク産業への改革提言⑥
危ぶまれる日本政府系ハイテクファンドのデューデリジェンス『国家財源の無駄遣い』
http://a-gd.blogspot.com/2010/07/3_16.html

本日の日本経済新聞社朝刊で、産業革新機構の『東芝・ソニーの中小型液晶を統合し新会社設立』するという内容を報じている。
産業革新機構の投資案件が、本当に正しい物か、どうかは?読者の皆さんの判断にお任せしましょう。
背景には、表の”大義”と裏の利権構造(思惑)があるものと見ている。
かって、隆盛を極めた『半導体企業』に国費を使って投資をしなかった経済産業省政策が、トラウマとなったその所轄する産業革新機構が勝てる事が出来ない液晶産業に大規模投資をする。
東芝とソニーが得るものは?
老朽化した設備とグローバルで勝てない中小型液晶事業を1000億円で売り渡し事が出来る。
メディアの報道が正しければ、8割が産業革新機構が株式を握る⇒経営権を握るという事である。
今日は、このテーマを緊急分析しよう。

※関連記事:東芝・ソニー、液晶統合へ=中小型で競争力強化
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011060700115
※関連記事:液晶パネル:東芝とソニー、中小型で事業統合を検討
http://mainichi.jp/select/today/news/20110607k0000e020025000c.html
※関連記事:東芝とソニー、中小型の液晶事業を統合へ 韓国・台湾勢に対抗
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110607/biz11060708590012-n1.htm
※関連記事:東芝とソニーが中小型液晶で統合交渉、産業革新機構が出資へ
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-21563620110607
※関連記事:東芝とソニーがケータイ向け中小型液晶パネル事業を統合へ。年内に新会社設立し、シェアトップを目指す
http://www.gapsis.jp/2011/06/blog-post_07.html
※関連記事:東芝とソニーが液晶パネル事業統合…韓国「サムスンへのけん制か」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0607&f=business_0607_158.shtml

産業革新機構の”大義”のシナリオは次の通りである。
表向きの”大義”は、世界的なスマートフォンとタブレット需要で設備強化と台湾・韓国にシェアを奪われた日本液晶産業強化策である。
産業革新機構のExitは、早期のIPOによるゲインであろう。
東芝モバイルディスプレイ社とソニーモバイルディスプレイ社を産業革新機能の資本で統合する。
統合後の新会社が1000億円規模で増資し、官民出資ファンド(日本版SWF)産業革新機構が全額を引き受ける案。
この『日の丸構想』勝機は?
日本液晶メーカーは、液晶テレビ向け大型液晶で韓国、台湾勢にシェアを奪われ競争力が急速に低下している。
この次に起こる事は、韓国・台湾勢が『中国勢』にシェア奪われる事になる未来。
統合会社が中国液晶パネル製造企業BOE社(中国の国家戦略の一翼を担う企業)などと台頭に戦えるのか?
未来は、この企業と日本連合は敗退する。
両社の中小型液晶製造ラインは老朽化している為、新設備の大規模な設備投資を進めるため、官民一体となって巻き返しを図るり、日本液晶産業を復活させるというシナリオであろう。
しかし、これは既に破綻しているシナリオである。
中小型液晶は米国アップル社が、どのような戦略を取るかで残念ながら決まる。
シャープは、ある世界の亀山モデルと称した亀山工場を米国アップル社のiPad/iPhone専用工場化し、東芝モバイルディスプレイはiPad/iPhoneiPhone用のディスプレィを受注をしているものと見ている。
短期的に見れば、アップル社需要対策となるが、中長期的にはアップル社は、更に別の供給先を探す可能性もある。
これは、プロキャメント戦略の鉄則である。
日本のメディアと産業革新機構がスマートフォンにおける革新的にXXXXテクノロジー進化を評価していない事も"Poor"なところである。
このXXXXテクノロジーは、LEDバックライト搭載液晶の約10分1の消費電力で、究極のエコである。
筆者がここにその未来の答えを書くとビジネスにならないので、答えは書かないがスマートフォンの表示装置は、大きな落とし穴ある事だけは警告しおこう。
スマートフォンと携帯の覇王は、米国クワルコム社となるのである。
この企業名をあげれば、次世代テクノロジーとビジネスモデルが分かれば何を指しているのか分かるでしょう。
(補足説明⇒両有機ELパネルの量産技術の確立するとしている。この市場は、サムスン電子のギャラクシーSが事例のように、中小型有機パネル市場はサムスン電子傘下のサムスン・モバイル・ディスプレイ社がほぼ独占状態である。単純に技術開発をすれば追いつか?これは”No"である。有機EL分野は特許で固められ、サムスン・モバイル・ディスプレイ社絶対優位はコスト競争力。何故か?これも理由があるが、この答えも書かないでおこう。この有機ELを駆逐できる可能性があるあるのがXXXXテクノロジーを保有するクワルコム社と日立ディスプレイズ社である。サムスンもこのXXXXテクノロジーを買収によって完全補完した。中小型液晶パネルメーカーでこのXXXXテクノロジーを保有しないのは、このスキーム案の新会社である。

仮に、筆者が”勝つ+国民の税金をハイテク投資で確実に増やすミッションを受けたらなら”ハイテク投資をするのであれば、中小型液晶シェア世界6位日立ディスプレイズ社(同3位の奇美電子を抱える鴻海精密工業(台湾)と業務提携交渉中)に巨額投資をし、液晶とXXXXテクノロジーと日台連合で、真のグローバル市場を取りに行く。
日立ディスプレイズ社の技術は、東芝・ソニーよりはるかに高く、XXXXテクノロジー未来技術の完成度高い。
同社は、中小型液晶パネルの映像表現能力もデジタルカメラ業界で非常に高い。
ハイテク投資(テクノロジー)は、素人(金融業界)が投資をして成功する可能性が極めて低い。
金融系の試算は、シェア合算の統合理論で評価したのだろう。

マーケットシェア分析
液晶パネルデータとしては信頼出来る米国DisplaySearch社の調査報告書では、2010年はシャープが14.8%で1位。2位韓国サムスン電子11.9%、3位台湾の奇美電子11.7%、4位東芝モバイルディスプレイ社で9.2%、5位が台湾の友達光電で7.1%、6位日立ディスプレイズ社の6.3%、7位ソニーモバイルディスプレイ社で6.1%、8位が韓国LGディスプレイの5.8%。
東芝モバイルディスプレイ社とソニーモバイルディスプレイ社が中小型液晶パネル事業を産業革新機能の統合案だと9.2%(東芝)+6.1%(ソニー)=15.3%(統合)となり、首位になる。
しかし、これも破綻している。
もう、このような国民を騙すような数字のマジックはやめよう。
ルネサスエレクトロニクス(日立製作所+三菱電機⇒ルネサステクノロジ+NECエレクトロニクス⇒ルネサスエレクトロニクス)は、統合でシェアと売上が落ちている。
統合は、同一のシステム企業のデバイスを納入しているケースも多く、これはベンダー切り替えの対象口実となる。
これも部品を調達するプロキャメントの仕組みである。
よって、この産業革新機構の統合スキーム案は、未来戦略とビジネスは完全破綻していると言えよう。
これでも先にスキームを進めるのであれば、その背景には利権があるのだろう。
管首相最後の仕事として、浜岡原子力発電所停止のように、国民の税金と正しきハイテク産業強化の資金として産業革新機構を活用する為に、この案件は政治主導で停止して頂きたい。


※半導体ウォッチ(15)世界を圧倒できるニッポンのMEMSテクノロジ 2008/11/20
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/siliconeswatch/15/siliconeswatch15a.html

このブログの人気の投稿

緊急分析:国連宛に送られたとされる『ロックフェラーの書簡』を検証する

緊急分析:SiCウェハの大口径化で市場拡大を目指す日本半導体メーカー

シリーズ5:崩壊する日本ハイテク産業のエピローグ➃