シリーズ5:崩壊する日本ハイテク産業のエピローグ⑦

パナソニック北米市場ゲーム機(ポータブル)再参入失敗のシナリオ
本ブログ内の「世界の家庭ゲーム機メーカーのパイオニア、任天堂ポータブルゲーム機の凋落シナリオ」で、パナソニックゲーム機市場再参入の可能性には触れていました。
筆者もプレイステーション1に関わった開発・戦略マーケッターの1人、過去のゲーマーとしてのユーザーの1人として、日本企業であるパナソニックに再度メッセージを送りたい。

今、世界はゲーム機単体、特にポータブル機は、スマートフォンに”利便性とライフスタイルの変化”が起こり、取って代わられている。
パナソニックは、このことを冷静に評価分析し真摯に受け止めなければならない。

※関連記事:iPhone、携帯ゲーム機としても勢力伸ばす
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/24/news013.html

家庭用ゲーム機のPS3好調背景の理由は、「マルチメディア・ステーション」としての低価格によるハイブリッド機能に、ユーザーの立場でベネフィットを見出しているのである。
日本のポータブルゲームメーカー、任天堂とソニーは大きなビジネス危機の中にあり、これはパナソニックにも共通することである。
android仕様にすることにより、オープン・プラットフォームのゲーム端末として、ソフト開発(小規模事業者・個人の開発者)にビジネス環境を提供し、パナソニックはこの見かけ上安価なモデルを提供し、目論みとしては、数多くのゲームソフトで囲い込みを行いたいのだろうが、成功する可能性は奇跡に近い。
android仕様にすることにより、逆に他のゲーム機端末との差別化が出来なくなり、主戦場はゲーム機器メーカーとの戦いでなく、スマートフォンを提供する巨大通信機器メーカーや通信キャリアなのである。
パナソニックのポータブルゲーム機 VS スマートフォン連合+既存ゲーム機企業の構図である。
スマートフォン優位は、定額料金で3G通信を”いつでも・どこでも・つなげる”アクティブ(ダイレクトな)な通信モデルであること対して、パナソニックはWLANをベースに”パッシブな通信(間接的な)”では、ユーザーの利便性に欠けるということである。
下記に、通信世界での2007年時点での筆者の調査結果を公表しよう。





新規事業として、勝てない戦を『北米市場』仕掛けるより、原点回帰として出遅れているスマートフォン端末の開発を急ぎ、日本のハイテク技術で完全武装したandroidで北米市場に、パナソニックが再参入し、そのコンテンツ側の仕掛けとして、ゲームを選択すべきであろう。
資金・資源やリソースが分散し、パナソニックの弱点が埋まらないままの戦いとなる。
この戦いは、アジアで無敵と言われた帝政ロシアのバルチック艦隊を撃破した日本海海戦のように、「日本」がまた奇跡を起こすことは、不可能であると考えている。
現在のパナソニックに、名参謀の秋山真之が居れば別だが・・・。

※関連記事:秋山真之
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%9C%9F%E4%B9%8B
※関連記事:パナソニック「オンライン」で再挑戦
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20101206-OYT8T00320.htm
※関連記事:ゲーム機業界の市場シェアデータ速報
http://kakaku.com/trendsearch/pvshare/game/ccd=2050/
※関連記事:KDDI、国内初のWiMAXスマートフォンを11年度発売へ
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-18505120101207

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