シリーズ6:ハイテク日本再起動計画の提言⑪

2011年1月31日は『インテル・ショック』、この日を機会と捉えよ!
読者の皆さんも本日のマスコミの発表に、驚いていることだろう。
不具合が見つかったチップは、”Sandy Bridge”と呼ばれるチップセットである。
第2世代"Core i5”、"Core i7”クアッドコアベースのシステムである。

筆者が、現在公開されている情報で解析する限り、不具合の原因は、”エレクトロリカル・マイクレーション”ではないかと見ている。
電流密度が高まり、トランジスタや配線などが経時劣化することであり、本不具合は、インテル社設計者のトランジスタの設計ミスであろう。
不具合現象は、このチップセットに実装されたSerial-ATA(SATA)ポートの性能を低下させていく可能性がある。
今回のインテル社の損失は、最小10億米ドル(この内、新製品の売上見込む3億米ドルを含む)規模となる。
インテル社のダメージは、"Core i5”、"Core i7の投入で出鼻をくじかれた事である。
マイナス側の影響を受けるのは、当事者のインテル社、PCメーカー、ボードメーカーである。
短期であるがプラスでの影響を受けるのは、ウェハ供給メーカー、半導体材料メーカー(再度、改良品を作りこむ為)、それとAMD社である。
中長期的にプラスに影響受けるのは、脱インテルMPUアーキテクチャとしてのARMへの移行であろう。

※関連記事:米インテル製チップに欠陥、第1四半期売上高予想を引き下げ
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-19304920110131
※関連記事:インテル、「Sandy Bridge」関連チップセットで設計上の問題を明らかに
http://japan.cnet.com/news/service/20425721/

【昨日の筆者の分析結果検証】
※関連記事:NEC、パソコン発売を延期、東芝は出荷停止 米インテル半導体不具合で
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110201/its11020120260001-n1.htm
※関連記事:インテルを襲ったチップセットのリコール!PLLトランジスタに問題か
http://itlifehack.jp/archives/4057340.html
※関連記事:インテルがチップセットに「設計上の問題」と発表、対応に7億米ドル
http://eetimes.jp/news/4562

【追加:日本のPCメーカー事業規模から見た"インテル・ショック"の影響度分析】
東芝⇒約1兆円規模(半導体事業規模と同等)
NEC⇒約1000億円規模
富士通⇒約8000億円(ただし、富士通決算報告書には携帯電話売上が合算されており、携帯分を引き算する必要がある)
注意:これらは公開情報の年間売上を推計しており、インテル・ショックの影響は最大1Q分だとアーキテクトGDでは見ている。

今後、未来世界はクラウドシステムが主流となり、ユーザーのPC使用環境なども大きく変わる。
タブレットPCはアンドロイドがシェアを高め、インテル社とマイクロソフト社の長い呪縛から解き放たれる機会でもある。

このブログでも予言しているが、『グーグルが世界支配する(IT&エレクトロニクス・サプラィチェーンを牛耳る構造)』日も近い。
これをリスク取るか、機会と取るか?
国家と民間は、その立場を使い分けなければならない。

※関連記事: 「iPad」、タブレット市場で首位を維持--「Android」が猛追
http://japan.cnet.com/news/business/20425717/
※関連記事:米グーグルがスマートフォン市場で首位に、ノキアを抜く=調査
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19314820110201

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