緊急分析:ルネサスモバイルの事業撤退

経営再建中のルネサスエレクトロニクス社6月27日、全額出資子会社ルネサスモバイルの主力で、携帯端末向け無線通信技術の半導体開発を手掛けるモバイル事業から今年末で撤退すると発表した。 海外勢への売却も含めて事業の方向性を検討してきたが、条件が折り合わず売却を断念した。 同事業は2010年にフィンランドの通信機器メーカー、ノキア社からASICチームを核に約2米億ドル(約180億円)で買収した無線通信技術の開発部門を母体として発足した。 第4世代と呼ばれるLTEモデム技術の製品化に取り組んできたが、グローバル市場環境が厳しく、新規開発や拡販の中止を決めた。 買収後の累積損失は約450億円。 ここからも「経営のグランドデザインが無かった事、戦略なき経営実態」が分かるだろう。 市場関係者によると、ルネサスは当初、富士通セミコンダクタとパナソニックがシステムLSIの設計開発部門を統合して設立する新会社への合流を模索していたが、交渉が難航した。 その後、前ルネサスの鶴丸哲哉社長は複数の海外企業と売却交渉に入っていることを明らかにしていた。 旧世代モデム関連製品や量産納入中の製品は供給を継続するが、LTEモデムの研究開発を手掛けるフィンランド、インド、中国での事業を停止する。 ルネサスモバイル全従業員約1900人のうち約75%を占める海外3拠点に在籍する計1430人との雇用契約を解消する見通しである。 ルネサスモバイルの中でも堅調な自動車向け情報システム、産業機器向け事業は強化する。業績への影響は確定次第、公表する予定。

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