シリーズ6:ハイテク日本再起動計画の提言:番外編⑫

▮産業革新機構第10号案件、日本インター投資の再評価を行う
この日本は、与党自民から民主に国民が政権交代させても『政治と金』の問題がクリーンになる気配は、全く無い。
何故なら、尽きる事が無い国家との利権構造と政治家が職業化されているからである。
参議院予算委員会で、前原外務大臣(在日外国人の女性から5万円の政治献金受取りを認める⇒政治資金規制法では外国人からの政治献金は禁止されている。前原氏は現役の外務大臣であるからこの政治献金は日本の国益に反すると解釈されても仕方ない)、藤井副官房長官(自由党時代の15億円2千万円の署名捺印⇒政治資金報告書報告済⇒藤井氏宛に支出されているが受取りを認めない)両者は、日本の法に反しているが、この国は悪が正義で、国を思い正義を主張するものが悪人にされる。

【一昨日↑のブログ検証】
前原外務大臣辞任は、戦略的な身の引き方である。
泥船内閣内に居る事は、前原氏の政治家としての生き様と相反する事。
一時的には首相の道は遠のくが現状の問題を抱える民主党とねじれ国会運営の尻拭いは、前原ブランドを傷つけることにもなりかねない。
傷が浅い内に、戦略的判断の効果は最大に!有能な戦略家(未来を読んだ戦略マーケティング)である。
※関連記事:前原外相辞任、菅政権に打撃-外交関係円滑化努力に支障も
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_192634


産業革新機構第10号案件、日本インター投資の再評価を行う
筆者は、”日本SWF(政府系ファンド)の投資プロセスの可視化と日本国と国民(納税者)に対する目標投資リターン率”の明確化と公開をこのブログ内で提言している。
恐らく、このSWFは日本最後のハイテク産業強化の重要な秘策の1つとなる。
産業革新機構は、『オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を創出すべく、産業界との幅広い連携を通した投資活動等を行ってまいります。』がミッションである。
3年を1つの区切りとして、産業革新機構の投資案件を公開型事業仕分けスタイルで、国民に情報を開示して欲しい。
仮に、これを実施するにしても産業革新機構は15年の時限付き企業なので5回しか国民はレビュー出来ない。
結論からズバリ言おう、日本インターの中国戦略と次世代パワー半導体SiCデバイス(単体)は、成長出来ないのである。
日本インターのSiC-SBDのベアチップ(ウェハ)は、米国クリー社から供給を受けており、供給能力や価格面で優位性はない。
また、次世代パワー半導体のシステムソリューションとしては、SiC-SBDとSiC-MOSFET plusモジュール技術が揃わないと競争力は無く、日本インターは単なるクリー社のSiC-SBDチップを単体パッケージングしているに過ぎず、片手落ちなのである。
重要技術は、”アプリケーション適合型高耐圧パッケージ・モジュール技術とソリューション力”である。
SiCの内製キラー・アプリケーションを抱え、高いモジュール技術を持ち合わせた三菱電機 半導体事業+パワーデバイス製作所(SiC-SBD+SiC-MOSFET+モジュール)は、日本を誇るトップランナーである事は間違いない。

※関連記事:SiC開発の経緯(ローム)
http://www.rohm.co.jp/products/sic/gd/gd1.html
※関連記事:米国クリー社と日本国内 次世代SiC ダイオード契約発表
http://www.niec.co.jp/ir/pdf/news/070718_2.pdf

米国クリー社は、日本SiC市場は富士エレクトロニクスと販売代理店を提携して、デザインウィンの強化を図る(日本インターとは競合関係となる)。
日本インターのSiCは、自社工場でウェハ製造しないチップ供給モデルは、フレキシブルな市場対応力は無く、競合企業との争いで敗れて行く運命になる。
筆者もフィリップス社時代にTI社とのセカンドソース・プログラム(TI社製造、パッケージングがフィリップス)でチップ供給されるアドバンスドCMOS(ACT)のモデルでは、ユーザーの要望する価格には限られた時間軸までしか対応出来なかったのである。
これがFAB工程を行うわない現実であり、市場拡大すれば供給量(シェア)もコントロールされる。

※関連記事:化合物半導体産業の現状と課題
http://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/strategy/semiconductor04.pdf
更に、SiC(GaNは?)は2010年に米国から戦略物資指定になっており、単体デバイスとしての輸出出来ない。
そして、SiCの市場環境は国内外半導体(大手・中規模)が、2010年になり乱立参入となった。
下記のSiC未来市場予測は、SiC研究第一人者の京都大学名誉教授 松波先生が2007年に筆者の事務所を来社頂いた際に、SiC普及拡大の戦略として提供した資料である。

※関連記事:低炭素社会支えるシリコンカーバイドデバイス実用化への道を切り開く http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2010/12/articles/1012-02/1012-02_article.html

この資料は、松波先生や経済産業省がSiC国家プロジェクト推進するための啓蒙資料として活用されていたので、SiCに関わる業界の方はこの資料をご覧になられた方も多くいるだろう。
当時の筆者の戦略は、単なるデバイスではなく、ターゲットアプリケーション適合+環境貢献型グローバルビジネスモデル(環境半導体カテゴリ)し、日本半導体企業を優位なポジショニングにする策であった。
SiC参入企業は、ローム・デンソー・三菱電機・富士電機HD・ルネサスエレクトロニクス・東芝・新日本無線・クリー社・インフィニオン社など。(SiCウェハの内製化企業は、ローム・クリー社)
SiC競合企業となるGaNパワーデバイス企業は、パナソニック・サンケン電気・富士通セミコンダクター・豊田合成・IR社などである。

上記図のベンチマークは、SiCで積極展開を図るロームを分析評価した結果(2007年)である。
米国政府側の縛りは、SiC日本企業に対して全てである。
筆者は、これら2007年後半に米国戦略物資指定の動きを想定し、日本政府やSiCを開発支援する企業には未来シナリオとその対策案提供していたのである。

※関連記事:連載:半導体ウォッチ(3)電子立国ニッポン再生のカギは“SiC技術”だ2007/10/1
http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/articles/siliconeswatch/03/siliconeswatch03a.html
※関連記事:SiCパワー半導体デバイスの特許総合力,トップ3はCree社,デンソー,パナソニック
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20110310/263175/


【経過分析:産業革新機構の投資先リスト情報】
※関連記事:日本インターが事業再生ADR手続を申請、債務の株式化要請
http://www.fukeiki.com/2010/04/nihon-inter-adr.html
※関連記事:日本インターで見る現金“創出力”
http://ameblo.jp/oxalarm/entry-10521991719.html
※関連記事:産業革新機構,3期連続赤字で経営再建中の日本インターに35億円出資を決定
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20101109/251169/?SS=imgview&FD=1274223480
※関連記事:公表日:2010.11.01 「パワーデバイス専業メーカーである日本インター株式会社への投資」を決定
http://www.incj.co.jp/investment/deal_015.html
2010年12月24日開催の日本インター臨時株主総会での承認後、同年12月28日付で日本SWFである産業革新機構を割当先とする第三者割当増資を実施すると発表している。
(普通株式31,250千株、所有割合48.93%、1株112円、調達額35億円)同日付で、産業革新機構が主要株主兼筆頭株主に異動し、『京三製作所』 はその他の関係会社から外れており、35億円の出資決定している。
このWeb上に公開されている過去の日本インターの決算報告書などの資料を深く読み解くと同社の状況が分かるだろう。
同社における過去の経営者陣(マイケルパトリック・マギー元会長/IR社元副社長兼CFO、安田元社長⇒石井元社長)の一連の交代劇の真相は、何があるのか?

【公開WEB情報の検証と分析】※関連記事:アイアールファーイースト(IR)株式会社代表取締役社長に江坂文秀が就任
http://www.irf-japan.com/zwhats-new/znews98/jp980803.htm
※関連記事:Welecom to NIEC 2003年3月決算説明会
http://www.niec.co.jp/ir/library/2003.html
※関連記事:日本インター中間決算説明会((2008年3月期)
http://www.niec.co.jp/ir/pdf/zaimu/setsumeikai_pdf/11-26-2007.pdf
※代表取締役及び役員の異動に関するお知らせ
http://www.niec.co.jp/ir/pdf/news/100610_6.pdf
※関連記事:新社長 日本インター 江坂文秀氏
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/jinji/20100611-OYT8T00414.htm
※関連資料:株式会社 京三製作所
http://www.tekijikaiji.com/pdf/201004/201004010405.pdf
※関連記事:Alex Lidow Resigns as CEO of International Rectifier
http://powerelectronics.com/power_management/news/ceo-ir-alex-lidow-resigns-1003/
※関連記事:パワー半導体の米IR社、前CEOのアレックス・リドウ氏を提訴
http://eetimes.jp/article/22735
(EE TIMES JAPAN記事の抜粋:~Alex Lidow氏は、2007年4月に経理上の不正行為が発覚したことを受け、同年10月にCEOを辞任しているIR社は当時、この”不正経理について、海外子会社の製品売上高”に関する早期収益認識(premature revenue recognition)など、複数の問題があったとしていた。~)
マイケルパトリック・マギー元会長、安田元社長など退任劇はこれと連動していたと見るのが自然だろう。
当時マギー氏は、米国IR社財務最高責任者であり、IR社海外事業所(日本含む)、日本インターの経理を統括指示していたものと推測出来るだろう。
2008年3月期の決算報告時点でも日本インターと米国IR社(インターナショナル・レクティファイアー社)は、主要株主であった。これらを見ても、両社は非常に密接な関係にあった。現江坂社長は、プレスリリース、決算報告書を見るとIR株式会社(米国IR社の海外子会社)代表取締役社長、株式会社京三製作所取締役、日本インター・取締役⇒専務執行役員⇒代表取締役などを兼任している。
※日本インターの社歴:1957年にシリコン整流素子の製造・販売を目的に、株式会社京三製作所と、米国IR社との合弁会社として設立されている。

※関連記事:Ullet
http://www.ullet.com/o48796.html
※関連記事:第143回定時株主総会決議ご通知
http://www.kyosan.co.jp/ir/html/pdf/irsk20080627.pdf

筆者からのコメントとしては、既にこのディールに産業革新機構が参画しているが、本来の「日本ハイテク産業強化=半導体」戦略的な策であるとするならば、小規模半導体企業は早期に業界再編を行い、弱者救済の生き残り策でなく、強者吸収(M&A)による未来成長の策が正しい方策である。

このブログ内でも、経済産業省に提供した2008年時点での日本半導体強化再編プランを公開している。
日本半導体強化策として相応しいパートナーは、国内企業を条件にするならば、ローム、サンケン電気が最適であったと考える。(筆者の2007年再編企業リストに日本インターは入っていた)
サンケン電気には、約2%の株主としてIR社が入ってるからである。

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